
アネット:香り豊かな万能選手
小さなフランス料理店で、私は運命のハーブ「アネット」に出会いました。それは、繊細な白身魚のソテーに添えられた、緑色のレースのような繊細な葉でした。ナイフを入れると、爽やかな香りがふわりと漂い、食欲をそそります。一口食べると、今まで味わったことのない、ほのかに甘い香りと独特の風味が口いっぱいに広がり、私の心を掴んで離しませんでした。まるで春の草原を思わせるような、爽やかで優しい味わいは、魚料理の繊細さを一層引き立て、忘れられない一品となりました。
アネットの虜になった私は、早速自宅でも使ってみようと、近所のスーパーを探し回りましたが、なかなか見つかりません。そこで、ハーブ専門のお店を訪ねてみると、乾燥したものや種が売られていました。最初は乾燥アネットを使って料理を試してみましたが、あのレストランで味わった新鮮な風味とはどこか違う気がしました。そこで思い切って、自宅でアネットを育てることに挑戦することにしました。種をまき、水をやり、太陽の光をたっぷり浴びさせて大切に育てると、小さな芽がぐんぐん成長し、鮮やかな緑の葉を広げていきました。自分で育てたアネットを初めて収穫した時は、言葉にできない喜びで胸がいっぱいになりました。
今では、我が家の小さな菜園には、アネットが欠かせない存在となっています。摘みたてのアネットは、乾燥したものとは比べ物にならないほど香り高く、料理に彩りを添えるだけでなく、風味も格段にアップします。サラダに散らしたり、スープに浮かべたり、卵料理に混ぜ込んだり、魚や肉のソースに刻んで加えたりと、様々な料理に活用しています。アネットの爽やかな香りと風味は、食卓に季節感と彩りを添え、家族の笑顔も増えました。あの日、小さなフランス料理店でアネットと出会えたことに、心から感謝しています。