
東京の味、べったら漬けの魅力
べったら漬けとは、東京を代表する漬物の一つで、主に大根を用いて作られます。江戸時代から親しまれてきた伝統の味であり、現在でも多くの家庭で愛されています。最大の特徴は、麹の自然な甘味です。砂糖を大量に使うのではなく、米麹の糖化作用によって生まれる優しい甘さが、べったら漬けの最大の魅力と言えるでしょう。
べったら漬けの材料は至ってシンプルで、主な材料は大根と米麹、そして塩です。大根は皮を剥き、食べやすい大きさに切ります。その後、塩を振って軽く揉み、余分な水分を抜きます。この下処理によって、大根の歯ごたえが良くなり、また麹の甘味が染み込みやすくなります。
塩漬けした大根に、米麹を混ぜ合わせ、数日間漬け込むことで、べったら漬けは完成します。麹の酵素が大根のデンプンを糖に変えることで、独特の甘味が生まれます。漬け込む時間や温度によって、甘味や酸味のバランスが変化するため、職人の経験と技が重要になります。
べったら漬けの名前の由来には諸説ありますが、砂糖の古名である「べったら」から来ているという説が有力です。かつて砂糖は貴重品だったため、庶民にとっては麹の甘味は砂糖の代わりとして重宝されました。そのことから、「べったら」と呼ばれるようになったと言われています。
べったら漬けは、ご飯のお供としてはもちろん、お酒のつまみとしても最適です。あっさりとした甘味は、脂っこい料理の後にもぴったりです。また、カリカリとした歯ごたえも特徴の一つで、噛むほどに大根の旨味と麹の香りが口の中に広がります。鮮やかな黄色も見た目にも美しく、食卓を華やかに彩ってくれます。