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肉類

小さな体の大きな力持ち:鶉の秘密

{鶉(うずら)は、スズメより少し大きい程度の小さな鳥}で、丸みを帯びた体つきと短い尾羽が特徴です。全体に黄褐色の羽毛で覆われており、背中には黒と茶色の複雑な模様があります。この模様は、草むらに隠れるための保護色となっています。胸からお腹にかけては白色に近い薄い黄色で、黒い斑点が見られます。顔も黄褐色で、目の上には薄い色の眉斑があり、可愛らしい印象を与えます。 かつては、日本各地で普通に見られる鳥でした。春から夏にかけて、シベリアや中国大陸から日本に渡ってきて繁殖し、秋になると南へ帰っていく渡り鳥でした。繁殖期には、雄が「ゴキッ、ゴキッ」と特徴的な鳴き声で縄張りを主張します。草むらや畑などの地面に巣を作り、一度に7~12個ほどの卵を産みます。卵は黄褐色の地に暗褐色の斑点があり、約17日で孵化します。雛は生まれたときから羽毛が生えており、すぐに歩き回ることができます。 近年、野生の鶉の数は激減しており、その姿を見ることは大変珍しくなりました。主な原因は、農薬の使用や開発による生息地の減少と考えられています。また、狩猟の対象ともなっていたため、乱獲も影響した可能性があります。現在では、環境省のレッドリストで絶滅危惧Ⅱ類に指定され、保護の対象となっています。一方で、食用として飼育されている鶉は多く、その肉や卵は広く流通しています。スーパーなどで手軽に手に入る鶉の卵は、ほとんどが飼育された鶉のものです。かつて日本の空を賑わせていた野生の鶉の姿を再び見られるようになるには、自然環境の保全と保護活動の推進が不可欠です。