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調味料

ナンプラー:タイ料理の隠れた主役

独特の風味を持つ調味料、ナンプラーは、東南アジアの食卓には欠かせない存在です。特にタイ料理においては、ナンプラーなしに本場の味を再現することは難しいと言えるでしょう。 見た目は、蜂蜜のような琥珀色をした液体です。そして、初めて嗅ぐ人は驚くかもしれません。なぜなら、非常に個性的で強い香りがするからです。この香りは、好き嫌いがはっきり分かれる特徴の一つです。しかし、この独特の香りが、タイ料理特有の奥深い味わいを生み出しているのです。 ナンプラーの原料は、カタクチイワシなどの小魚です。新鮮なうちに塩漬けにし、壺や樽などの容器に入れて、じっくりと時間をかけて熟成・発酵させます。この発酵期間は、通常1年ほどかかります。中には数年間熟成させるものもあり、熟成期間が長いほど、コクと深みが増し、より複雑な風味へと変化していきます。 タイでは、ナンプラーは炒め物、スープ、煮物など、様々な料理の味付けに使われています。特に「パッタイ」や「トムヤムクン」といった代表的なタイ料理には欠かせない調味料です。また、つけダレの材料としても使うことができ、唐辛子やライム、ニンニクなどを加えて自分好みの味に仕上げる楽しみもあります。 ナンプラーは、タイだけでなく、ベトナムやラオスなど、東南アジアの様々な国で広く使われています。それぞれの国や地域によって、原料となる魚の種類や塩分濃度、熟成期間などが異なり、香りや風味にも微妙な違いがあります。その多様性を味わうことも、ナンプラーの魅力の一つと言えるでしょう。