
万能調味料コチュジャンの魅力
コチュジャンは、朝鮮半島で生まれた伝統的な調味料です。その歴史は古く、数百年前から人々の食卓を彩り、韓国料理には欠かせない存在となっています。
コチュジャンの起源は、保存食作りの知恵から生まれたと言われています。朝鮮半島では、冬の寒さが厳しく、新鮮な野菜が手に入りにくい時期がありました。そこで、人々は米や麦、大豆などの穀物を原料に、麹や塩を加えて発酵させた味噌や醤油などの保存食を作り、厳しい冬を乗り越えてきました。
唐辛子が朝鮮半島に伝来した16世紀頃、この保存食作りに大きな変化が訪れました。人々は唐辛子の辛味と保存性を活かし、味噌や醤油に唐辛子を混ぜ合わせるようになりました。これがコチュジャンの原型と言われています。
その後、18世紀頃には、米、麦、大豆などの穀物に麹と唐辛子を混ぜ合わせ、じっくりと発酵・熟成させるという、現在のコチュジャンに近い製法が確立されました。
コチュジャンの製法や材料は、地域によって微妙に異なります。例えば、海岸沿いの地域では塩辛を加えたり、内陸の地域ではもち米を使用したりと、それぞれの気候や風土、特産物に合わせて工夫が凝らされてきました。こうして、各地域独自の味わいが育まれ、多様なコチュジャンが生まれたのです。
コチュジャンは、単なる調味料としてだけでなく、料理の隠し味や薬味としても広く使われてきました。その独特の辛味と旨味、そして深いコクは、様々な料理に奥行きを与え、人々の食生活を豊かにしてきました。現代では、韓国料理の代表的な調味料として世界中で愛され、親しまれています。