
青寄せ:緑の彩りを添える
青寄せとは、緑色の野菜から鮮やかな緑色の色素を抽出する方法、そしてその色素そのものを指します。緑の葉物野菜、例えばほうれん草、小松菜、大根の葉などを使い、すり鉢ですりつぶしたり、近年ではミキサーなどで滑らかになるまで撹拌します。こうしてできた緑色のペーストを、清潔な布巾や濾し器を使って丁寧に濾していきます。すると、濃い緑色の液体が得られますが、これはまだ青寄せではありません。この液体を鍋に移し、火にかけます。沸騰させると、水面に鮮やかな緑色のふわふわとした塊が浮かび上がってきます。これが青寄せです。
古くから日本の食卓で、彩りを豊かにするために使われてきた天然色素です。特に、木の芽みそに混ぜ込んだり、白和えなどの和え物に彩りを添えたりする際に重宝されてきました。また、青寄せの色合いは使用する野菜によって微妙に変化します。ほうれん草を使うと明るく鮮やかな緑色に、小松菜だと少し黄色みがかった黄緑色に、大根の葉を使うと深みのある濃い緑色になります。それぞれの野菜の持ち味、色の特徴を理解し、料理に合わせて使い分けることで、見た目だけでなく、風味も一層引き立ちます。
青寄せを作る際には、野菜をよく洗って泥や汚れを落とすことが大切です。また、濾す際には、しっかりと絞り切ることで、より多くの色素を抽出できます。そして、加熱しすぎると色が悪くなるため、沸騰したらすぐに火を止めるようにしましょう。このように、少しの手間をかけることで、美しい緑色の青寄せを作ることができます。青寄せは、日本の伝統的な食文化を彩る、自然の恵みと言えるでしょう。