
山梨の滋味、ほうとうの魅力
ほうとうとは、山梨県を代表する郷土料理です。平たく幅広の麺と、かぼちゃをはじめとする旬の野菜をたっぷり使い、味噌で味を調えた温かい汁で煮込んだ料理です。山梨の厳しい冬を乗り越えるための知恵が詰まった、栄養満点の一品です。
ほうとうの麺は、小麦粉を水で練って作ります。麺棒を使わずに、手で薄くのばしてから包丁で幅広く切ります。この独特な製法により、煮込んでも煮崩れしにくく、もちもちとした独特の食感が生まれます。うどんとは異なる、ほうとうならではの味わいです。
ほうとうには、かぼちゃは欠かせません。かぼちゃの甘みは、味噌の風味とよく合い、汁にコクと深みを与えます。その他にも、里芋、大根、人参、ごぼう、ネギ、きのこなど、季節の野菜がたっぷり入ります。これらの野菜から出るうま味が、汁全体をさらに美味しく仕上げます。
味付けには、味噌が使われます。各家庭や地域によって味噌の種類や配合は異なり、そこに各々の家庭の味が出ます。味噌の塩味と野菜の甘みが絶妙に調和し、滋味深い味わいを生み出します。仕上げに、熱々の汁を土鍋や鉄鍋で提供することで、最後まで温かく食べられます。
ほうとうは、山梨の郷土料理として古くから親しまれてきました。農作業の合間の食事として、手軽に作れて栄養価も高いことから、人々の生活に欠かせない料理でした。現在でも、家庭料理としてはもちろん、山梨県内の多くの飲食店で提供されており、山梨を訪れたらぜひ味わいたい一品です。