
魚の血合い肉:おいしく食べる秘訣
魚を三枚におろすと、身の真ん中に赤黒い部分が見つかることがあります。これが血合い肉と呼ばれる部分です。マグロやカツオ、ブリなど、赤身と呼ばれる種類の魚によく見られます。
この血合い肉、一体何なのでしょうか。実は、魚が活動するための大切な役割を担っています。魚も私たちと同じように、酸素を取り入れてエネルギーを作り出しています。その酸素を筋肉に運ぶのが、ミオグロビンという赤い色素を持つたんぱく質です。血合い肉にはこのミオグロビンが多く含まれているため、独特の赤黒い色をしているのです。
陸上で暮らす動物の血液にある、酸素を運ぶ役割を持つヘモグロビンとよく似た働きをしています。ミオグロビンは筋肉の中に酸素を蓄えることができ、魚が活発に泳ぐ際に必要な酸素を供給しています。そのため、よく動き回る魚ほど、この血合い肉の部分が発達しているのです。マグロやカツオは外洋を回遊する魚なので、血合い肉が目立ちやすい魚と言えるでしょう。
血合い肉には、酸素を運ぶミオグロビン以外にも、体に良い栄養素が豊富に含まれています。鉄分はもちろん、ビタミンやミネラルなど、健康維持に欠かせない栄養素が詰まっているのです。
魚の栄養をしっかりと摂りたい方は、血合い肉も残さず食べるのがおすすめです。少し生臭さがあるため、苦手な方もいるかもしれません。下処理で臭みを抑える工夫をしたり、濃い味付けの料理にしたりすることで、美味しく食べることができます。魚の栄養を余すことなくいただきましょう。