
香り立つ山の幸:香茸と皮茸
香茸と皮茸、どちらも秋の味覚の代表格として人気ですが、実はこれらは同じ種類のきのこです。きのこの成長段階によって呼び名が変わるため、別々の種類だと思われがちですが、香りも味も基本的に同じです。
香茸とは、傘がまだ開ききっていない、若いきのこのことを指します。まるでつぼみのような形で、全体が濃い褐色をしています。この段階のきのこは、肉厚で歯ごたえがあり、独特の強い香りを放ちます。生のまま天ぷらにしたり、炊き込みご飯にしたりと、さまざまな料理で楽しむことができます。特に、香茸ご飯は秋の風物詩として親しまれています。
一方、皮茸とは、傘が完全に開ききった、成熟したきのこのことを指します。傘が開くと、表面は平らになり、まるで皮を広げたような形になります。色は、若い時よりも薄くなり、黄土色に近い褐色になります。成熟した皮茸は、香りは若い香茸に比べるとやや弱くなりますが、独特の風味は健在です。乾燥させて保存食にするのもおすすめです。
このきのこの最大の特徴は、なんといってもその強い香りです。人によっては少し癖があるように感じるかもしれませんが、一度この香りに魅了されると、毎年秋が来るのが待ち遠しくなるでしょう。この香りは乾燥させることでさらに凝縮され、より一層深みを増します。生の状態では褐色ですが、乾燥すると黒色へと変化します。乾燥させた香茸や皮茸は、水で戻してから煮物や炒め物などに利用したり、粉末にして調味料として使ったりと、様々な料理に活用できます。保存がきくので、旬の時期にたくさん手に入れて乾燥保存しておくと、一年を通して香りを楽しむことができます。