灰汁

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下ごしらえ

料理の秘訣:あく取りの重要性

煮物や汁物を作るとき、鍋やフライパンの表面に灰色の泡のようなもの、いわゆる「あく」が浮いてくることがあります。このあくは一体何なのでしょうか。あくの正体は、食材に含まれる様々な成分が加熱によって変化し、水に溶け出さずに浮かび上がってきたものです。食材に含まれるたんぱく質は熱を加えることで固まり、灰汁の主な成分となります。また、野菜に含まれるミネラルや、肉や魚に含まれる脂肪や血液なども、加熱によって変化しあくとなります。 あくの種類や量は、食材によって様々です。例えば、肉を茹でるときに出るあくは、主に血液や肉のたんぱく質が変化したもので、灰色っぽい色をしています。このあくには独特の臭みがあり、そのままにしておくと料理全体の風味を損ねてしまいます。一方、野菜から出るあくは、種類によって白っぽいものや緑っぽいものなど、色も様々です。ほうれん草や小松菜などの緑黄色野菜のあくには、シュウ酸と呼ばれる成分が含まれており、えぐみや苦味の原因となります。また、ごぼうや里芋などの根菜類のあくには、ポリフェノールの一種であるタンニンが含まれており、渋みや苦味を感じさせます。 あくは必ずしも全て取り除く必要はありません。あくの中には、食材のうま味成分も含まれているからです。例えば、きのこ類のあくには、独特の風味や香りが含まれており、料理に深みを与えます。しかし、あくの苦味やえぐみ、渋み、臭みは料理の味を損なう場合が多いため、あくの性質を見極め、適切な処理をすることが大切です。あくを取る方法としては、網じゃくしなどで丁寧にすくい取ったり、キッチンペーパーなどで吸い取ったりする方法が一般的です。また、下茹でをすることであくをある程度除去することもできます。あくを適切に処理することで、料理の風味を良くし、より美味しく仕上げることができます。