
香信: 旨み広がる干し椎茸
香信とは、乾かした椎茸の中でも、特定の種類を指す言葉です。生の椎茸を乾かしたのが干し椎茸ですが、香信はその中でも、傘の開き具合が八分咲き程度の春子と呼ばれる種類や、短い期間で大きく育つ秋子と呼ばれる種類を乾かしたものを指します。これらの種類は、育つ過程で傘が大きく開くため、乾かした後でさえ、大きくて薄い形をしているのが特徴です。肉厚で丸みを帯びたどんことは違い、平たく広がった形をしています。
香信は、その薄い形から、調理の際に戻し汁をたっぷり含みやすく、味もしみ込みやすいという利点があります。汁物に使うと、戻し汁に豊かな香りが溶け出し、奥行きのある味わいを作り出します。また、煮物に使うと、味がよくしみ込み、柔らかく食べやすい仕上がりになります。炒め物に使う場合は、歯ごたえが軽やかで、他の食材ともよく馴染みます。
一方、どんこは、肉厚で味が凝縮されているため、旨みが強く、しっかりとした歯ごたえが楽しめます。煮物や炒め物、炊き込みご飯など、様々な料理に合います。特に、どんこは煮崩れしにくいため、じっくり煮込む料理にも適しています。
このように、香信とどんこは、それぞれ異なる特徴を持っています。料理によって使い分けることで、より美味しく、よりバラエティ豊かな食卓を楽しむことができるでしょう。香信の持つ独特の香り、食感、そして調理のしやすさは、和食の繊細な味わいを引き立てる重要な要素と言えるでしょう。様々な料理で香信の魅力を存分に味わってみてください。