
山梨の恵み、甲州料理の魅力
甲州とは、かつて山梨県を指していた古い呼び名です。山梨県は、日光をたっぷり浴びた豊かな土壌で育った、質の高いぶどうの産地として有名です。もぎたてのぶどうは、そのまま食べても甘くみずみずしくて美味しく、また、様々な形で加工され、私たちの食卓を彩ります。
中でも特に有名なのが、ぶどうを原料として作られるお酒、ぶどう酒です。このぶどう酒や、ぶどうの絞り汁を使った料理には、「甲州」という名が付けられることがあります。「甲州料理」とは、山梨県産のぶどう、またはその加工品を使った料理全般のことを指します。
例えば、ぶどう酒で鶏肉をじっくり煮込んだ「鶏肉のぶどう酒煮」は、ぶどう酒の芳醇な香りと深いコクが鶏肉にしみ込み、特別なご馳走として親しまれています。また、デザートとして人気の高い「ぶどうのゼリー寄せ」は、ぶどう本来の甘さと爽やかな酸味が口いっぱいに広がり、夏の暑い時期にぴったりの一品です。他にも、ぶどうの絞り汁を煮詰めて作る「ぶどうみそ」は、独特の甘辛い風味が肉料理や野菜料理によく合い、山梨県では古くから家庭料理の定番として愛されています。
このように、甲州料理は、ぶどうの豊かな風味と香りが最大限に活かされた、山梨県ならではの食文化と言えるでしょう。素材本来の味を大切にすることで、滋味深く、奥行きのある料理が生まれます。山梨県を訪れた際には、ぜひこの「甲州」の名を冠した料理を味わってみてください。