塩もみ

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下ごしらえ

塩もみ: 素材の持ち味を引き出す技

塩もみは、野菜を美味しくする調理法です。野菜に塩をまぶして、手で優しくもみ込むことで、野菜本来の旨味を引き出すことができます。 塩もみには、主に三つの効果があります。一つ目は、野菜の余分な水分を取り除くことです。水分が抜けることで、味が染み込みやすくなり、歯ごたえも良くなります。きゅうりや大根などの水分の多い野菜は、塩もみすることで、べちゃっとせず、シャキシャキとした食感を保てます。二つ目は、野菜に塩味をつけることです。均一に塩味が付くことで、野菜そのものの美味しさを味わうことができます。三つ目は、野菜の青臭さを和らげることです。特に、キャベツなどの葉物野菜は、塩もみすることで、えぐみが抑えられ、食べやすくなります。 塩もみの方法はとても簡単です。まず、野菜を洗い、食べやすい大きさに切ります。ボウルに切った野菜を入れ、塩を振ります。野菜の重さの約1~3%の塩を使うのが目安です。塩の量は、野菜の種類や好みに合わせて調整してください。塩を振ったら、手で優しくもみ込みます。ゴシゴシとこすり合わせるのではなく、野菜の組織を壊さないように優しくもみ込むのがポイントです。野菜がしんなりとして、水分が出てきたら、水気を絞ります。絞り加減は、料理によって調整します。和え物に使う場合は、軽く絞る程度で、漬物に使う場合は、しっかりと絞ります。 塩もみする時間によって、野菜の食感を変えることができます。短時間、軽くもむ程度であれば、野菜のシャキシャキとした食感を残すことができます。長時間、しっかりと絞ることで、しんなりとした食感になります。 塩もみは、様々な料理に活用できます。浅漬けや和え物、炒め物、汁物など、料理の幅を広げる万能な下ごしらえです。塩もみをマスターすることで、いつもの料理がワンランクアップすること間違いなしです。
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板ずりの魅力:野菜を美味しくする技

板ずりとは、野菜の表面に塩をまぶして、まな板の上で転がし、こすりつける伝統的な調理技法です。主に、きゅうり、ふき、オクラなど、表面に細かい産毛が生えている野菜や、アクが強い野菜に対して行います。この調理法は、野菜の表面をきれいにするだけでなく、食感、色味、風味など、様々な面で良い効果をもたらします。 まず、板ずりをすることで、野菜の表面についた汚れや産毛、そして目には見えない細かなごみなどを物理的に取り除くことができます。これにより、野菜本来のきれいな色と風味が引き立ちます。特に、きゅうりのような緑色の野菜は、板ずりすることでより鮮やかな緑色になります。また、ふきの場合は、板ずりによって筋や皮を取り除きやすくし、えぐみを軽減する効果もあります。 次に、塩をまぶしてこすりつけることで、野菜の細胞壁が壊れ、余分な水分が排出されます。きゅうりなどは水分を多く含んでいるため、そのまま調理すると水っぽくなってしまいますが、板ずりすることで水分が抜けるため、味がぼやけることなく、食感も歯ごたえのある、心地よいものになります。また、野菜から水分が抜けることで、調味料がより染み込みやすくなるという利点もあります。例えば、きゅうりの浅漬けを作る際に板ずりをしておくと、味がしっかりと染み込んだ、おいしい浅漬けを作ることができます。 さらに、板ずりは野菜の青臭さを和らげる効果も期待できます。塩によって野菜の細胞が壊れる際に、青臭さの原因となる成分も一緒に流れ出ていくためです。 このように、板ずりは一見単純な作業ですが、野菜の下ごしらえとして非常に重要な役割を果たしています。古くから日本で受け継がれてきたこの知恵は、野菜本来の味を最大限に引き出し、料理をおいしく仕上げるための、大切な技法と言えるでしょう。