
土佐作りの魅力を探る
土佐作りは、土佐(現在の高知県)で生まれたカツオ料理です。土佐は古くからカツオ漁が盛んな地域であり、新鮮なカツオが豊富に水揚げされていました。そこで、人々はいかにカツオを美味しく食べるかを考え、様々な調理法を生み出してきました。その中で生まれたのが、土佐作りです。
土佐作り最大の特徴は、カツオの表面を炙ることです。炙ることでカツオの脂が溶け出し、香ばしい香りが立ち上ります。同時に、魚の臭みが抑えられ、旨味が引き出されます。かつては藁(わら)を燃やした炎で炙る「藁焼き」が主流でした。藁焼きは、藁特有の香りがカツオに移り、独特の風味を醸し出すのが魅力です。炎の勢いが強く、短時間で炙ることができるため、カツオの表面は香ばしく焼け、中は生のままという絶妙な焼き加減に仕上がります。
しかし、藁の入手が難しくなってきた現代では、ガスバーナーなどを使って炙ることも多くなりました。ガスバーナーは火力の調整が容易で、安定した仕上がりを得ることができるという利点があります。調理方法は時代に合わせて変化していますが、カツオを炙って美味しく食べるという土佐作りの本質は変わっていません。
土佐作りには、薬味としてニンニク、生姜、ネギなどが添えられます。これらの薬味は、カツオの風味を引き立て、より一層美味しさを増してくれます。また、ポン酢や塩で食べるのが一般的です。
土佐作りは、土佐の豊かな海と、そこで暮らす人々の知恵が生み出した伝統料理です。新鮮なカツオと、炙るというシンプルな調理法によって、カツオ本来の旨味を最大限に引き出した料理と言えるでしょう。現在では、高知県だけでなく全国各地で食べられるようになりました。ぜひ一度、本場の土佐作りを味わってみてください。