和紙

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下ごしらえ

かみぶた:煮物の匠

「かみぶた」とは、煮物を美味しく仕上げるための調理道具で、紙でできた落としぶたのことです。落としぶたは、鍋の大きさよりも小さく、煮ている食材の上に直接置く蓋のことを指します。この落としぶたを紙で作ったものが「かみぶた」であり、主に和紙が使われますが、家庭では手軽に入手できる調理ペーパーで代用することも可能です。 かみぶたを使う主な目的は、食材の煮崩れを防ぎつつ、味を全体に均一に染み込ませることです。かみぶたを食材の上に置くことで、鍋の中の煮汁の対流がおさえられ、食材全体に穏やかに熱が伝わります。このため、食材の形が崩れるのを防ぎ、煮汁が食材全体にじっくりと染み込み、均一な味付けを実現できます。 また、かみぶたは食材の乾燥を防ぎ、しっとりとした仕上がりを作るのにも役立ちます。煮物を作る際、食材が煮汁から出て空気に触れると乾燥し、硬くなってしまうことがあります。かみぶたを使うことで、食材が常に煮汁に浸かった状態を保ち、乾燥を防ぎ、ふっくらと柔らかな仕上がりになります。 さらに、かみぶたには灰汁を吸着する効果もあります。灰汁は、食材から出るアクのことで、煮物の味を濁らせたり、えぐみを与えてしまう原因となります。かみぶたは、この灰汁を吸着し、煮物の風味を損なうことなく、より美味しく仕上げる役割も担っています。 このように、かみぶたは煮物を調理する上で、食材の煮崩れ防止、味の均一化、乾燥防止、灰汁の吸着など、様々な効果をもたらす便利な道具です。いつもの煮物に一手間加えるだけで、格段に美味しくなりますので、ぜひ一度お試しください。