ラッカー塗装

ラッカー塗装とは、主に海外から持ち込まれた家具などで見られる、塗りの方法の一つです。塗料を薄める液体にシンナーを用い、それを噴き付けることで、薄い膜を作るのが特徴です。この薄い膜のおかげで、木の表面のちょっとした凹凸を埋めずに、木がもつ本来の持ち味をそのまま活かすことができます。まるで木が呼吸しているかのように、木の繊維の細やかな模様や、年輪までもが透けて見えてくるようです。また、塗膜が薄いことから、木の呼吸を邪魔することが少なく、家具の寿命を長く保つことにも繋がります。 ラッカー塗装の魅力は、その美しい仕上がりです。滑らかで柔らかい光沢は、派手な輝きではなく、上品で落ち着いた印象を与えます。深みのある光沢とはまた違った、優しく包み込むような柔らかな光は、まさに自然の恵みを受けて育った木そのものの美しさを際立たせます。そのため、高級家具などによく用いられ、お部屋に置くだけで、上質な空間を演出してくれます。 ラッカー塗装は、均一に塗料を吹き付けるのが難しく、熟練した職人の技術が必要とされます。塗料の濃度や吹き付ける加減、乾燥時間など、様々な要素を考慮しながら、丁寧に仕上げていきます。長年の経験と勘、そして木への深い愛情を持つ職人だからこそ、美しいラッカー塗装を実現できるのです。こうして丁寧に仕上げられた家具は、使い込むほどに味わいが増し、時を経るごとに愛着が深まっていきます。まるで家族の一員のように、世代を超えて大切に使い続けられる、そんな家具となるでしょう。