
高貴な香辛料、サフランの世界
サフランとは、秋に咲くアヤメ科クロッカス属のサフランクロッカスという植物の、赤いめしべを乾燥させた貴重なものです。まるで糸のように細い赤いひも状のものがサフランで、鮮やかな赤橙色が特徴です。鼻を近づけると、甘くエキゾチックな香りと、土のような独特の香りが漂い、口にするとかすかな苦みを感じます。この香りと味わいが、世界中の人々を魅了し、古くから料理や薬、染料など様々な用途で重宝されてきました。
サフランは「赤い黄金」と呼ばれるほど、世界で最も高価な香辛料の一つとして知られています。その希少性は、栽培と収穫の難しさにあります。サフランクロッカスは秋に開花しますが、花が咲いているのはわずか数日間で、しかも早朝にしか花を摘むことができません。さらに、一つ一つ手作業で赤いめしべだけを丁寧に摘み取り、乾燥させなければならないという大変な手間がかかります。一つの花から取れるめしべはわずか3本しかなく、1グラムのサフランを作るためには、なんと140個もの花が必要となります。このような途方もない労力が、サフランの希少価値を高め、高価な香辛料として取引されている理由なのです。
サフランは少量でも料理に鮮やかな黄色と独特の風味を与えてくれるため、パエリア、ブイヤベース、リゾットなど、世界中の様々な料理に使用されています。また、牛乳や砂糖水に浸して色と香りを抽出し、お菓子やパンの生地に練り込むのもおすすめです。独特の風味と希少性から、贈り物としても喜ばれるでしょう。