
テリーヌ:器と料理の魅力
テリーヌ型といえば、その名の通り、四角くて深い、蓋つきの焼き型を思い浮かべますね。この形には、長い歴史と、素材を活かすための工夫が詰まっているのです。テリーヌ型の名前は、フランス語の「土」を意味する「テール」という言葉が由来です。その歴史は古く、古代ローマ時代まで遡ります。当時の人々は、土を焼き固めて作った素朴な容器に食材を詰めて、火にかけて調理したり、保存食を作ったりしていました。この時代のテリーヌ型は、今でいう保存容器のような役割を果たしていたのです。
時代が進むにつれて、テリーヌ型は様々な素材で作られるようになりました。土を焼いて作る陶磁器はもちろん、熱伝導率の良い金属、近年では扱いやすいシリコン製の型も登場しています。大きさも様々で、一人分ほどの小さなものから、大人数で楽しめる大きなものまであります。形も四角いものが主流ですが、丸や楕円のものも見かけるようになりました。
テリーヌ型の特徴といえば、やはり蓋の存在でしょう。この蓋があることで、食材の水分を閉じ込め、しっとりとした仕上がりになります。また、蓋をすることで、オーブンで加熱する際に、表面が焦げすぎるのを防ぐ効果もあります。さらに、重しを乗せて蓋をすることで、中の食材をしっかりと圧縮し、きめ細かいテリーヌを作ることができます。現代では、パテやゼリー寄せ、様々な食材を層にして固めた料理など、多様な料理を作る際にテリーヌ型が活躍しています。素材や大きさ、形も多様になり、家庭でも使いやすい調理器具として、広く親しまれています。