スイス

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調味料

グリュイエールチーズの魅力

グリュイエールチーズは、その名前の由来となったスイスの小さな村、グリュイエールとその周辺地域で古くから作られてきた伝統的なチーズです。その歴史は古く、西暦12世紀には既に文献に登場しているというから驚きです。スイスの西部に位置するフリブール州。その緑豊かな牧草地で育った牛から搾った新鮮なミルクが、このチーズの原料となります。何世紀にもわたり地元の人々に愛され続けてきたグリュイエールチーズは、その深い味わいと高い品質で、現在も世界中の人々を魅了しています。 グリュイエールチーズを作る工程は、まさに職人技と経験の結晶です。まず、牛から搾りたてのミルクを大きな釜でじっくりと温めます。そして、乳酸菌を加えてミルクを固めます。この固まったミルクを細かく切り分け、ホエイと呼ばれる水分を取り除いていきます。その後、型に詰めて圧力をかけてさらに水分を抜いていきます。この一連の作業は、長年の経験と勘がなければできません。熟成庫へと運ばれたチーズは、種類に応じて数ヶ月から長いものでは数年もの間、じっくりと熟成されていきます。温度と湿度が管理された熟成庫の中で、チーズはゆっくりと変化していきます。熟成期間中に、チーズの表面は定期的に塩水で拭き取られます。これは、雑菌の繁殖を防ぎ、風味を均一にするための大切な作業です。こうして長い時間をかけて熟成されることで、グリュイエールチーズ特有のナッツのような香ばしい風味と複雑な味わいが生まれます。まさに、時間と手間暇が凝縮された、伝統の技が生み出す逸品と言えるでしょう。