
ザンポーネ:イタリアの伝統料理
ザンポーネとは、イタリアを代表する伝統的な豚肉料理です。豚の足を袋状に使い、中に様々な材料を詰めた、いわばソーセージのようなものです。その独特の見た目と濃厚な味わいが、多くの人々を魅了しています。
ザンポーネの詰めものには、一般的に豚のひき肉、背脂、皮の細切れなどが使われます。さらに風味を豊かにするために、様々な香草や香辛料が加えられます。これらの材料を混ぜ合わせ、丁寧に豚の足の皮に詰め込んでいきます。この時、豚の足を使うことで、独特の風味と食感が生まれるのです。特に、レンズ豆と一緒に煮込む食べ方が定番とされています。レンズ豆と共に煮込まれたザンポーネは、とろけるような食感と、奥深い味わいが楽しめます。イタリアでは新年を祝う席などで、縁起の良い料理としてよく食されます。
ザンポーネは、保存食としても非常に優れています。長期保存が可能であるため、冬の寒い時期の貴重なタンパク源として、古くから人々に重宝されてきました。イタリアの中でも特にエミリア=ロマーニャ州のモデナが有名で、この地域ではザンポーネ作りが盛んに行われています。モデナでは、伝統的な製法を守りながら、職人たちが一つ一つ丁寧に手作りしています。その歴史は古く、1511年のミランド公国によるモデナ包囲戦まで遡ると言われています。食糧不足に陥ったモデナの人々が、豚のあらゆる部位を無駄なく活用するために、豚の皮に詰めものをして保存食を作ったのが始まりだと伝えられています。材料を無駄にしない知恵と工夫から生まれたザンポーネは、現在ではイタリアを代表する伝統料理として、世界中で親しまれています。