サヨリ

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魚介類

春の味覚、針魚の魅力を再発見

針魚は、細長い体と銀色のうろこが目を引く、美しい魚です。その姿はまるで銀色の矢が水中を滑らかに突き進むかのようで、見るものを魅了します。大きさはだいたい20から30センチメートルほどで、数百匹から時には数万匹にもなる大きな群れを作って泳ぎます。この大群が一斉に方向を変える様子は、まるで巨大な銀色の帯が揺らめくようで、壮観です。 針魚は、トビウオやサンマと同じダツの仲間です。住んでいる場所は、サハリンから台湾にかけての沿岸、内湾、河口、汽水域など、実に様々です。サロマ湖や浜名湖のような汽水域でも暮らせることから、様々な環境に適応できる高い能力を持っていることがわかります。海水と淡水が混ざる汽水域は、水質の変化が激しい場所ですが、針魚はそんな場所でも元気に生きています。 針魚は、主に動物性プランクトン、特に小さなエビを好んで食べます。小さな口で器用にプランクトンを捕らえ、大きな群れで泳ぎながら、水中のプランクトンを食べて暮らしています。針魚がプランクトンを食べることで、水質をきれいに保つのに役立っています。まるで天然の掃除屋さんですね。このように、針魚は水中の生態系において大切な役割を担っているのです。針魚は、その美しい姿だけでなく、周りの環境を良くする、自然にとって無くてはならない存在と言えるでしょう。
魚介類

光り物は寿司の華

寿司ネタの中でもひときわ目を引く銀色の輝き。それが「光り物」です。青魚の中でも、サバ、アジ、イワシ、コハダ、サヨリなど、比較的小型の魚で、背中がまるで鏡のように光を反射する様が、その名の由来となっています。寿司屋の冷蔵ケースにずらりと並んだ光り物は、まるで宝石箱のように美しく、食通たちの心を掴んで離しません。 光り物の魅力は、見た目だけではありません。独特の風味も大きな特徴です。青魚特有の脂と、ほどよい酸味、そして身の締まり具合。新鮮な光り物であれば、それらのバランスがとれており、口に入れた瞬間に海の恵みを感じることができます。特に、皮と身の間に含まれる旨味は格別で、光り物ならではの味わいを生み出しています。 しかし、光り物は鮮度が命です。時間が経つにつれて、その美しい輝きは失われ、風味も落ちていきます。そのため、光り物をおいしくいただくためには、職人の技が欠かせません。経験豊富な寿司職人は、長年の経験で培われた目利きで、その日一番状態の良い魚を選び抜きます。そして、丁寧に下処理をすることで、光り物本来の旨味を最大限に引き出します。魚の良し悪しを見極め、適切な仕込みを行う。それが、光り物を最高の状態で提供するための、寿司職人のこだわりなのです。 光り物は、鮮度、見た目、そして職人の技が一体となって、初めて真価を発揮する、まさに寿司の芸術品と言えるでしょう。その輝きと風味は、私たちに海の豊かさを実感させてくれます。