
海のフォアグラ、鮟肝の魅力
海の底深く、太陽の光も届かない暗闇の世界に生きる不思議な姿をした魚たちがいます。その中でもひときわ異彩を放つのがアンコウです。平べったい体で海底にじっと身を隠し、まるで岩のような姿をしています。その姿は、まるで遠い宇宙からやってきた生き物のように奇妙で、私たちに深海の神秘を感じさせます。
実は、この奇妙な姿のアンコウは、日本の近海にも数多くの種類が生息しています。その中でも、私たちにとって身近な存在と言えるのが、食用として親しまれているクツアンコウとキアンコウです。どちらも大きなものでは1.5メートルにも達する巨大魚で、全長1メートルを超えることも珍しくありません。しかし、私たちが普段魚屋などで目にするアンコウは、ほとんどがメスです。オスはメスの半分ほどの大きさしかなく、市場ではあまり価値がないとされています。
アンコウは、その独特な狩りの方法でもよく知られています。頭から伸びた背びれの棘が変化した釣り竿のような器官を持っています。この釣り竿の先には疑似餌と呼ばれるものがついており、これを動かして小魚をおびき寄せます。そして、獲物が近づくと大きな口で丸呑みにしてしまうのです。この巧妙な狩りの方法は、暗く、獲物の少ない深海で生き抜くための知恵と言えるでしょう。
このように、アンコウは奇妙な姿と不思議な生態を持つ、深海の神秘を体現する生き物と言えるでしょう。暗闇の世界で生き抜くための進化が、彼らにこのような独特な特徴を与えたのかもしれません。私たちが普段目にする機会は少ないですが、深海にはこのような不思議な生き物が数多く生息していることを知ると、海の奥深さに改めて驚かされます。