
アロゼ:素材の旨味を引き出す技
アロゼとは、フランス語で「かける」「注ぐ」という意味を持つ、調理における大切な技法です。肉や魚、野菜などを焼いたり、揚げたりする際に、素材から出た肉汁や油、あるいは別に用意しただし汁などを、調理中の食材に繰り返しお玉などでかけることを指します。
このひと手間を加えることで、様々な効果が生まれます。まず、食材の表面が乾燥するのを防ぎ、うま味を閉じ込めることができます。肉や魚などは加熱すると水分が失われがちですが、アロゼによって表面を湿らせることで、ふっくらとジューシーな仕上がりになります。パサパサとした食感とは無縁の、しっとりとした仕上がりを堪能できるでしょう。
また、アロゼは焼き色を均一にする効果もあります。食材に繰り返し液体をかけ続けることで、表面の温度が一定に保たれ、ムラなく美しく焼き上がります。まるでプロの料理人のように、見た目にも食欲をそそる一品に仕上がるでしょう。さらに、だし汁などをかけることで、食材に風味を移すことも可能です。肉汁や油だけでなく、ハーブやスパイスを煮出しただし汁などを用いることで、より複雑で奥深い味わいを作り出すことができます。
アロゼは、一見すると難しい技術のように思えるかもしれませんが、家庭料理でも簡単に取り入れることができます。フライパンで肉を焼く際、出てきた油をスプーンですくって肉の上にかけるだけでも、アロゼの効果を実感できるはずです。いつもの料理にアロゼを取り入れるだけで、ワンランク上の仕上がりを体験できるでしょう。ぜひ、ご家庭でも試してみて下さい。