
渚の貴公子、鱚の魅力を徹底解剖
鱚は、スズキ目鱚科に分類される魚です。その姿の美しさから、「渚の貴公子」や「海のアユ」といった呼び名で親しまれています。世界には実に二十六種類もの鱚が生息していると言われていますが、日本でよく見かけるのは、主にシロギスとアオギスです。
私たちが普段魚屋さんなどで目にする鱚のほとんどはシロギスです。淡い黄色みを帯びた体に、銀白色の腹部が特徴です。シロギスは砂浜の浅瀬に暮らしており、投げ釣りなどでよく釣られます。夏が旬で、天ぷらにすると、その白身はふっくらと柔らかく、上品な味わいが楽しめます。
一方、アオギスは、その名の通り体全体に青みがかった色をしています。かつてはシロギスと同じようにたくさん獲れていたそうですが、近年では数が減ってしまい、目にする機会は少なくなりました。
シロギスとアオギスの他に、ホシギスやモトギスといった種類もいます。これらは主に種子島より南の暖かい海に生息しています。これらの鱚も、シロギスやアオギスと同様に、美しい姿と美味しい身が特徴です。
鱚によく似た魚に、二ギスや虎鱚がいます。どちらも細長い体をしていて、一見鱚と見分けがつきにくいですが、二ギスはニギス科、虎鱚はトラギス科に属する別の種類の魚です。鱚は砂地に棲む魚なので、釣りをする際には、その習性を考慮した仕掛けを選ぶことが大切です。砂の中に潜む小さな生き物やゴカイなどを好んで食べます。
このように、一口に鱚と言っても、様々な種類が存在し、それぞれに特徴があります。鱚は、その美しい姿だけでなく、繊細な味わいの白身も魅力の魚です。旬の時期に、ぜひ味わってみてください。