とろみ付け

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穀類

コーンスターチ:万能食材の魅力

とうもろこしのでんぷん、別名コーンスターチは、とうもろこしを原料とした、白い粉です。その製造過程は、まずとうもろこしを砕くことから始まります。次に、胚芽や外皮といった不要な部分を丁寧に取り除き、最後に残った中心部分のでんぷんを精製することで、真っ白な粉末へと姿を変えます。 一見すると、片栗粉とよく似ていて、見た目だけでは区別がつきにくいこともあります。しかし、原料がじゃがいもである片栗粉とは異なり、とうもろこしのでんぷんはとうもろこしを原料としているため、両者の性質には微妙な違いがあります。例えば、とうもろこしのでんぷんは、原料由来のほのかな甘みを持っているのが特徴です。この優しい甘さは、料理に独特の風味を添えてくれます。 また、小麦粉とは大きく異なる点として、とうもろこしのでんぷんにはグルテンが含まれていません。グルテンとは、小麦などに含まれるたんぱく質の一種で、パンのもちもちとした食感を作るのに欠かせない成分です。しかし、一方で、このグルテンが原因でアレルギー反応を起こしてしまう人もいます。そんな人にとって、とうもろこしのでんぷんは、小麦粉の代わりとして安心して使える貴重な食材なのです。 近年、このとうもろこしのでんぷんの活用範囲は広がりを見せており、様々な料理に利用されています。中華料理のとろみ付けや、揚げ物の衣、和菓子作りなど、その用途は多岐に渡ります。家庭料理でも、使い勝手の良さから、今やなくてはならない食材の一つと言えるでしょう。
味付け

とろみ上手になる魔法:ブールマニエ

とろりとした舌触り、濃厚な風味、これらは煮込み料理やソース、スープを一段と美味しくする大切な要素です。 なめらかなとろみを自在に操ることで、いつもの料理がまるでお店で食べるような一品に変身します。とろみの魔法をかける秘密兵器、それがブールマニエです。 ブールマニエとは、バターと小麦粉を練り合わせた合わせバターのことです。フランス語で「練り混ぜたバター」という意味を持つように、バターと小麦粉をよく混ぜ合わせることが、なめらかさを生み出す重要なポイントです。小麦粉がだまになると、舌触りがざらついてしまい、せっかくの料理が台無しになってしまいます。 ブールマニエを作る際には、まず柔らかくしたバターを用意します。冷蔵庫から出したばかりの固いバターでは、小麦粉と均一に混ざりません。バターを指で押すと簡単にくぼみが出来るくらいの柔らかさが理想です。そこに同量の小麦粉を少しずつ加えながら、練り混ぜていきます。 へらや指先を使って、バターと小麦粉を丁寧に混ぜ合わせ、粉っぽさがなくなるまでしっかりと練り込みます。小麦粉の粒が見えなくなり、全体が滑らかで均一な状態になれば完成です。まるで粘土のように、なめらかでつやのある状態を目指しましょう。 このひと手間が、料理全体の質感を大きく左右します。ブールマニエを使うことで、とろみが均一になり、口にした時のなめらかさが格段に向上します。また、小麦粉がバターでコーティングされるため、加熱してもだまになりにくく、透明感のある仕上がりになります。いつもの料理にブールマニエを取り入れて、ワンランク上の味わいを楽しみましょう。
下ごしらえ

夏の涼味、葛打ちのひんやりとした魅力

葛粉とは、マメ科の植物であるクズの根から丁寧に作られた、純粋なでんぷんのことです。クズの根を掘り起こし、砕いて水にさらし、不純物を取り除き、沈殿させて乾燥させるという、多くの工程を経てようやく出来上がります。そのため、古くから貴重なものとして扱われてきました。 葛粉はその美しい透明感と、とろりとなめらかな舌触りが特徴です。口に含むと、独特の風味と心地よい滑らかさが広がります。この滑らかさは、他の植物由来のでんぷんにはない葛粉ならではの魅力です。 料理においては、とろみ付けによく使われます。あんかけや汁物に加えると、とろりとした上品な仕上がりになります。また、葛粉独特の透明感は、素材の色合いを美しく引き立てます。 和菓子作りにも欠かせない材料です。葛餅や葛切りは、葛粉の代表的な和菓子です。つるりとした喉越しと、ぷるんとした食感は、夏の暑い日にも涼をもたらしてくれます。 さらに、葛粉は消化が良いことでも知られています。胃腸に負担をかけることなく、栄養を吸収できるため、病後の回復期や、食欲がない時にもおすすめです。夏の暑さで疲れた体に、優しい葛湯や葛きりは、まさにぴったりの滋養食と言えるでしょう。