
涼を呼ぶ、じゅんさいの魅力
じゅんさいは、スイレン科に属する多年生の水草です。池や沼などの、流れが緩やかで水の澄んだ場所に育ちます。水面に浮かぶ丸い葉は、まるで緑色の宝石がちりばめられているかのようです。じゅんさいの若い茎や葉は、全体が透明なぬめりで覆われています。この独特のぬめりが、じゅんさいの最大の特徴であり、最大の魅力と言えるでしょう。
日本では、古くから食用とされてきました。その歴史は古く、平安時代にはすでに貴族の間で珍重されていたという記録が残っています。夏の味覚として親しまれ、涼を呼ぶ食材として、蒸し暑い日本の夏を乗り切る手助けをしてくれてきました。
かつては天然のじゅんさいを採取していましたが、需要の高まりとともに、安定供給が難しくなってきました。そこで、各地で栽培が始まり、今では一年を通して手に入れることができるようになりました。旬の時期は初夏です。この時期に収穫されるじゅんさいは、特に香りが高く、味も濃厚で、まさに夏の到来を感じさせてくれます。
じゅんさいは、そのつるりとした独特の食感が魅力です。口に含むと、喉を滑らかに落ちていく感覚は、まさに夏の暑さを忘れさせてくれる涼感を運んでくれます。味は淡泊でありながらも、滋味深い味わいが特徴です。酢の物や和え物、汁物の具材など、様々な料理に用いられます。また、じゅんさいのぬめり成分は、食物繊維でもあり、健康にも良いとされています。暑い夏に、つるりと喉ごしの良いじゅんさいを味わってみてはいかがでしょうか。