
滋味豊かな椎茸の世界
椎茸は、キシメジ科マツオウジ属に分類されるきのこです。秋になると、椎の木、櫟の木、小楢の木といった広葉樹の枯れ木や切り株に群生する様子が見られます。国内では北海道から沖縄まで全国的に分布しており、東アジア、東南アジア、ニューギニア、ニュージーランドなど、世界各地でも見られます。
傘は直径5センチメートルから10センチメートルほどで、色は個体差があり、薄い茶色から濃い茶色まで様々です。成熟するにつれて色が濃くなる傾向があり、若い椎茸は薄い黄土色、成長すると茶褐色へと変化します。傘の裏側はひだ状になっており、色は白色から薄いクリーム色です。傘の表面をよく見ると、綿毛のような細かい鱗片がついており、触ると少しざらざらとした感触があります。
軸の部分は白色から薄い茶色で、表面には茶色の細かい鱗片が密生していて、硬くしっかりとした感触です。軸の長さは3センチメートルから7センチメートルほどで、太さは1センチメートルから2センチメートルほどです。軸は傘の中心についており、まっすぐ伸びているものもあれば、少し曲がっているものもあります。
椎茸は古くから日本人に親しまれてきた食材です。生の椎茸は、独特の風味と少し歯ごたえのある食感が特徴です。乾燥させた干し椎茸は、生の椎茸とは異なる濃厚な香りと旨味があり、戻し汁も料理に活用できます。煮物、焼き物、炒め物、揚げ物、汁物など、様々な料理に利用され、独特の風味と食感が料理全体の味を引き立てます。栄養価も高く、ビタミンB群や食物繊維が豊富に含まれています。近年では、菌床栽培によって一年を通して安定した供給が可能となり、様々な品種が開発されています。