
滋味豊かな、うの花の魅力
「うの花」とは、豆腐を作る際に豆乳を絞り取った後に残る、白くぽろぽろとした見た目のおからのことです。大豆の栄養がぎゅっと詰まった、滋味深く、どこか懐かしさを感じさせる味わいが特徴です。
うの花という名前の由来は、初夏に咲く空木(うつぎ)という植物の花にあります。この空木の花は、うの花と同じように白く、小さな花が集まって咲く様子が似ていることから、うの花と呼ばれるようになりました。また、空木の幹の中が空洞になっていることから、「おから(空っぽ)」という呼び方も生まれたとされています。
うの花には、食物繊維が豊富に含まれています。食物繊維は、腸内環境を整え、便秘の解消や予防に役立つだけでなく、血糖値の上昇を抑える効果も期待できます。さらに、うの花には、たんぱく質やカルシウム、鉄分などの栄養素も含まれています。低カロリーでありながら栄養価が高い、まさに健康食材と言えるでしょう。
うの花は、様々な料理に活用できます。代表的なのは、野菜やきのこなどを加えて炒め煮にした「うの花炒め」です。醤油や砂糖で甘辛く味付けした、ご飯が進む一品です。他にも、ひじきや切り干し大根と煮物にしたり、ハンバーグのタネに混ぜ込んだり、クッキーなどの焼き菓子に利用したりと、幅広い料理で活躍します。
地方によっては、「きらず」と呼ばれることもあります。これは、包丁で切らずにそのまま食べられることに由来しています。このように様々な呼び名があることからも、うの花が古くから日本各地で親しまれ、生活に根付いてきた食材であることが分かります。近年では、健康志向の高まりとともに、改めてその栄養価が見直されています。手軽に手に入り、様々な料理にアレンジできるうの花を、毎日の食卓に取り入れてみてはいかがでしょうか。