
悪臭を防ぐ!トラップの重要性
台所や洗面所、浴室、お手洗いといった水を使う場所の排水口には、「トラップ」と呼ばれる大切な装置が設置されています。これは、排水管から上がってくる嫌な臭いや虫の侵入を防ぐための、いわば家の守護神のような存在です。
トラップの仕組みは、排水管の途中に常に水を溜めておくというシンプルなものです。排水口から下水管へと続く管の途中に、弓形やS字型に曲がった部分があり、ここに水が溜まります。この水が蓋のような役割を果たし、下水管から発生する不快な臭いや、そこから上がってこようとする虫を室内に侵入させません。まるで城の堀のように、家の中を臭いや虫から守っているのです。
近年増えている高気密高断熱住宅では、室内の空気が外に漏れにくく、屋外の空気も室内に入りづらい構造になっています。そのため、室内と屋外の気圧差が大きくなりやすく、この気圧差によって下水管の中の臭いが室内に上がってきてしまう可能性が高くなります。このような住宅では、トラップの役割がより重要になります。高気密高断熱住宅で快適に過ごすためには、トラップの存在が欠かせないと言えるでしょう。
トラップの種類もいくつかあります。S字型の管を使ったSトラップ、U字型の管を使ったPトラップ、そして、排水管の途中に椀型の部品を取り付けたベルトラップなどです。場所や用途に応じて、適切なトラップが選ばれています。
快適な住まいを維持するためには、トラップの適切な設置はもちろんのこと、日頃の維持管理も大切です。例えば、長期間家を空ける場合は、トラップの水が蒸発してしまい、臭いが上がってくる可能性があります。そのような場合は、トラップに水を足したり、排水口を蓋で覆ったりするなどの対策が必要です。また、定期的に排水管を清掃することで、トラップの機能を良好な状態に保つことができます。