柳川鍋:江戸前の粋な味わい

柳川鍋:江戸前の粋な味わい

料理を知りたい

先生、『柳川鍋』って、どんな鍋料理ですか?

料理研究家

柳川鍋は、浅い土鍋を使って、笹がきごぼうとどじょうを煮て、卵でとじた料理だよ。どじょう鍋とも呼ばれているね。

料理を知りたい

へえー。どじょうを使うんですか。名前の由来は何かあるんですか?

料理研究家

名前の由来には諸説あるけど、江戸の柳川というお店で最初に作られたという説と、福岡県の柳川で作られた土鍋を使っていたからという説が有名だね。

柳川鍋とは。

浅くて平たい土鍋で、細く切ったごぼうとどじょうを煮込み、溶き卵でとじた料理「柳川鍋」について。どじょう鍋とも呼ばれています。名前の由来には、江戸の柳川というお店で作られたという説と、福岡県の柳川で作られた土鍋を使ったためという説があります。

柳川鍋とは

柳川鍋とは

柳川鍋とは、浅くて丸い土鍋を使い、笹がきにしたごぼうとどじょうを甘辛い煮汁で煮込み、溶き卵でとじる料理です。土鍋を使うことで、材料にじっくりと火が通り、味がしっかりと染み込みます。また、浅い土鍋を使うことで、煮汁が早く煮詰まり、味が凝縮される効果もあります。どじょうは泥臭さを取り除くために、お酒や生姜でしっかりと下ごしらえをします。丁寧に処理することで、どじょう本来の旨味を存分に味わうことができます。ごぼうは、笹がきにすることで、火の通りが早くなり、どじょうとの食感のバランスも良くなります。また、笹がきにすることで表面積が増えるため、煮汁をより多く吸収し、風味豊かに仕上がります。煮汁は、醤油、砂糖、みりんをベースに、だしを加えて作ります。甘辛い味付けが、ごぼうとどじょうの風味を引き立て、ご飯との相性も抜群です。仕上げに溶き卵を回し入れ、半熟状に火を通すことで、全体をまろやかな味わいに仕上げます。ふんわりとした卵の食感と、ごぼうのシャキシャキとした食感、そしてどじょうのふっくらとした食感が、絶妙なハーモニーを生み出します。柳川鍋は、江戸時代から続く伝統料理で、当時はどじょうが主な材料でした。どじょうは栄養価が高く、夏バテ防止にも効果があるとされていました。現代では、どじょうの代わりに、うなぎや鶏肉を使うこともあります。うなぎを使う場合は、蒲焼きにしたものを使うことが多く、より豪華な柳川鍋になります。鶏肉を使う場合は、もも肉を使うことが多く、柔らかくジューシーな味わいが楽しめます。家庭料理としても人気があり、手軽に作れるため、特別な日だけでなく、普段の食卓にもよく並びます。また、一人用の小さな土鍋で作れば、一人暮らしの方でも気軽に楽しむことができます。熱々の柳川鍋を、ご飯と一緒に食べれば、心も体も温まります。

項目 詳細
料理名 柳川鍋
調理器具 浅くて丸い土鍋
主な材料 どじょう、ごぼう
どじょうの下ごしらえ お酒、生姜で泥臭さを取り除く
ごぼうの切り方 笹がき
煮汁 醤油、砂糖、みりん、だし
仕上げ 溶き卵
食感 卵:ふんわり、ごぼう:シャキシャキ、どじょう:ふっくら
歴史 江戸時代から続く伝統料理
現代の材料 うなぎ(蒲焼き)、鶏肉(もも肉)
その他 一人用の土鍋で調理可能

名前の由来

名前の由来

柳川鍋。その名の由来には、いくつかの言い伝えが残されています。一つは、江戸時代に柳川という名の料理屋が作ったというお話です。この料理屋は、どじょう料理が評判で、多くの人に愛されていました。看板料理として、どじょうとごぼう、ネギなどを卵でとじた鍋を提供していたところ、この料理が評判となり、いつしか「柳川鍋」と呼ばれるようになったと言われています。当時、どじょうは庶民の味として親しまれており、柳川のどじょう鍋はたちまち江戸っ子たちの心をつかんだのでしょう。

もう一つの由来は、福岡県の柳川市で作られた土鍋を使っていたからというお話です。柳川市は、質の良い土鍋の産地として有名でした。この土鍋で作ると、鍋料理が美味しく仕上がるため、柳川で作られた土鍋で作る鍋料理全般を指して「柳川鍋」と呼ぶようになったという説です。熱伝導率に優れた柳川の土鍋は、食材の旨味をしっかりと閉じ込め、ふっくらとした仕上がりを実現します。そのため、多くの料理人に愛用され、柳川鍋の名を広める一因となったのかもしれません。

さらに、柳川という地名にまつわるお話もあります。福岡県の柳川市には、掘割と呼ばれる水路が網目のように張り巡らされています。かつて、人々は掘割で獲れたどじょうを、ネギやゴボウと共に土鍋で煮て食べていました。この、柳川の地で生まれたどじょう鍋が、そのまま「柳川鍋」と呼ばれるようになったという説もあります。

これらの説のどれが真実かは、はっきりとはしていません。しかしながら、柳川鍋が江戸時代から続く歴史ある料理であることは確かです。時代を経てもなお、人々に愛され続ける柳川鍋。その名前の由来を紐解くと、日本の食文化の奥深さを感じることができます。

由来 詳細
江戸の料理屋 江戸時代の柳川という名の料理屋が、どじょうとごぼう、ネギなどを卵でとじた鍋を提供し、評判となった。
福岡県柳川市の土鍋 柳川市で作られた質の良い土鍋を使用していたため、柳川で作られた土鍋で作る鍋料理全般を「柳川鍋」と呼ぶようになった。
福岡県柳川市の地名 柳川市の掘割で獲れたどじょうを、ネギやゴボウと共に土鍋で煮て食べていた料理が「柳川鍋」と呼ばれるようになった。

材料と作り方

材料と作り方

柳川鍋は、どじょうとごぼうを甘辛い割り下で煮込み、ふんわり卵でとじた江戸前の郷土料理です。材料と作り方を詳しく見ていきましょう。

まず、柳川鍋に欠かせない材料は、どじょう、ごぼう、卵、そして割り下の調味料です。どじょうは、特有の泥臭さを取るために、数日間きれいな水にさらして泥抜きをします。活きの良いどじょうが手に入れば、より一層美味しく仕上がります。ごぼうは、笹がきにして水にさらし、アク抜きをしておきましょう。

割り下は、醤油と砂糖をベースに、みりんと酒を加えて作ります。それぞれの分量は、使用する醤油の種類や好みに合わせて調整してください。砂糖の代わりに蜂蜜を使うと、コクのあるまろやかな風味に仕上がります。

土鍋を使うと、熱が全体に均一に伝わり、食材の旨味をじっくりと引き出すことができます。まず、土鍋に割り下と水気を切ったごぼうを入れ、火にかけます。沸騰したら弱火にし、ごぼうが柔らかくなるまでじっくりと煮込みます。ごぼうに火が通ったら、泥抜きしたどじょうを丁寧に並べ入れ、再び煮込みます。どじょうは火を通しすぎると固くなるため、軽く火が通ったら溶き卵を回し入れ、蓋をして弱火で蒸らします。卵が半熟状になったら火を止め、三つ葉などの青みを添えて完成です。

どじょうが手に入らない場合は、うなぎや鶏肉を代用することもできます。うなぎを使う場合は、白焼きにしたものを使用し、鶏肉の場合は、一口大に切ったもも肉を使うのがおすすめです。それぞれの食材に合わせた下処理を行い、どじょうと同様に煮込んでいきます。

柳川鍋は、比較的簡単に作れるため、家庭でも気軽に楽しむことができます。旬の食材を使って、ぜひご家庭でもお試しください。

材料 下処理 ポイント
どじょう 数日間きれいな水にさらして泥抜き 活きの良いものを使う
ごぼう 笹がきにして水にさらし、アク抜き
割り下 醤油、砂糖、みりん、酒
(砂糖の代わりに蜂蜜も可)
醤油の種類や好みに合わせて調整
溶き卵 半熟状で火を止める
その他 三つ葉などの青み
調理器具 作り方 ポイント
土鍋 1. 割り下とごぼうを煮る
2. どじょうを加えて煮る
3. 溶き卵を加えて蒸らす
どじょうは火を通しすぎない
卵が半熟状になったら火を止める
代用食材 下処理
うなぎ 白焼き
鶏肉 一口大に切ったもも肉

味わいの特徴

味わいの特徴

柳川鍋は、独特の風味と食感が織りなす奥深い味わいが魅力の料理です。土鍋で煮込まれたどじょうは、ふっくらと柔らかく、独特の滋味深い風味を醸し出します。このどじょうの風味と、ごぼうの土のような香ばしい香りが、見事に調和するのが柳川鍋の最大の特徴と言えるでしょう。

ごぼうは、シャキシャキとした歯ごたえが心地よく、どじょうの柔らかさとの対比も楽しい一品です。これらの具材を、甘辛い割り下でじっくりと煮込むことで、味がしっかりと染み込み、さらに奥深い味わいが生まれます。砂糖と醤油が絶妙なバランスで配合された割り下は、どじょうの風味とごぼうの香りを引き立て、食欲をそそります。

仕上げに卵でとじることで、全体がまろやかになり、どじょう特有の香りが苦手な方でも食べやすくなります。ふんわりとした卵は、どじょうやごぼうを優しく包み込み、見た目にも美しい一品です。

熱々の土鍋で提供される柳川鍋は、最後まで温かく味わえるのも嬉しい点です。体の芯から温まるので、寒い季節には特におすすめです。湯気を立てながら、ぐつぐつと煮えたぎる柳川鍋は、見た目にも温かく、食欲を刺激します。

柳川鍋はご飯との相性も抜群です。甘辛い割り下をご飯にかけて食べるのも定番の楽しみ方です。どじょうとごぼうの旨味が溶け出した割り下は、ご飯が進むこと間違いなしです。また、日本酒や焼酎などの様々なお酒との相性も抜群で、お酒のつまみとしても最適です。濃いめの味付けは、お酒の味わいをさらに引き立てます。

特徴 詳細
味わい どじょうの滋味深い風味とごぼうの土のような香ばしい香りが調和した奥深い味わい
食感 どじょうのふっくらとした柔らかさと、ごぼうのシャキシャキとした歯ごたえ
割り下 砂糖と醤油が絶妙なバランスで配合された甘辛い割り下
卵でとじることで全体がまろやかになり、どじょうの香りが苦手な方でも食べやすい
提供方法 熱々の土鍋で提供され、最後まで温かく食べられる
相性 ご飯との相性抜群。日本酒や焼酎など様々なお酒との相性も抜群

食べる時の楽しみ

食べる時の楽しみ

土鍋でぐつぐつと煮込まれた柳川鍋は、熱々を囲んで食べるのが一番です。蓋を開ければ、食欲をそそるだしと卵の香りがふわりと広がり、湯気を立てる土鍋の中からは、どじょうとごぼうが顔をのぞかせます。

土鍋から直接取り分けて食べるのが柳川鍋の醍醐味です。熱気を帯びた土鍋から、煮えた具材と卵を一緒にすくい上げ、白いご飯にのせて口に運びます。

じっくりと煮込まれたどじょうは、骨まで柔らかくなっているので、丸ごと食べられます。ふっくらとしたどじょうの身と、シャキシャキとした歯ごたえのごぼう、そしてふんわりと包み込む卵の、三者の織りなす食感の組み合わせが、至福のひとときを演出します。

味の変化を楽しむのも、柳川鍋の醍醐味の一つです。七味唐辛子のピリッとした辛みや、山椒の爽やかな香りを加えることで、また違った風味が楽しめます。卵でとじる前に、刻んだネギを散らしたり、溶き辛子を加えたりと、好みに合わせて様々な味つけの変化を試してみるのも良いでしょう。

家族や友人と囲んで柳川鍋を囲めば、楽しい会話と共に、温かい料理が心と体を温めてくれます。食卓に並ぶ土鍋は、自然と笑顔を生み出し、食事の時間をより豊かなものにしてくれるでしょう。

特徴 詳細
調理器具 土鍋
調理方法 ぐつぐつ煮込む
主な材料 どじょう、ごぼう、卵
食べ方 土鍋から直接取り分け、ご飯にのせる
食感 どじょう(柔らかく)、ごぼう(シャキシャキ)、卵(ふんわり)
味覚 だしの風味、卵の香り、七味唐辛子、山椒、ネギ、溶き辛子
雰囲気 家族や友人と囲む温かい料理