かぶら蒸し:冬の滋味を味わう
料理を知りたい
先生、「かぶら蒸し」って、一体どんな料理なんですか?名前は聞いたことがあるんですが、どんなものかよく分からなくて…
料理研究家
ああ、かぶら蒸しね。白身魚の上に、すりおろしたかぶと卵白を混ぜたものをのせて蒸した料理だよ。かぶの甘みと白身魚のうまみが混ざり合って、上品な味なんだ。お吸い物みたいに出されることも多いね。
料理を知りたい
へえー、白身魚とかぶを使うんですか!なんだか組み合わせが意外ですね。すりおろしたかぶを使うっていうことは、食感は柔らかいんですか?
料理研究家
そう、白身魚はたらを使うことが多いかな。かぶはすりおろして蒸すから、とても柔らかく仕上がっているよ。卵白も加わるから、ふわふわとした食感も楽しめるんだ。全体的にはとろりとした優しい口当たりだよ。
かぶら蒸しとは。
「料理」や「台所」といった言葉に関する『かぶら蒸し』(白身魚を切ったものの上に、すりつぶしたかぶと卵の白身を混ぜたものを乗せて蒸したもの)について
かぶら蒸しの由来
かぶら蒸しは、京料理を代表する冬の蒸し物です。その発祥は諸説ありますが、京都の料亭で生まれたという説が有力です。かぶが旬を迎える寒い冬に、体を温める料理として考案されたと伝えられています。精進料理の影響を強く受けているため、味付けはあっさりとしていながらも、素材本来の持ち味を生かした奥深い味わいが特徴です。
かぶら蒸しの歴史を紐解くと、江戸時代には既に庶民の食卓にも上っていた記録が残っています。当時は家庭料理として、各家庭で受け継がれた独自の調理法で楽しまれていました。現代では、料亭のみならず、一般家庭でも手軽に作れるようになりました。かぶと白身魚というシンプルな材料で、滋味深い味わいを生み出せることから、冬の定番料理として広く親しまれています。また、その上品な見た目と繊細な味わいは、祝い事や特別な日の席にも華を添えます。おせち料理などにも用いられることもあり、日本の食文化に深く根付いた料理と言えるでしょう。
かぶら蒸しの調理で最も重要なのは、かぶの甘みと白身魚の旨味を最大限に引き出すことです。かぶは丁寧に下茹でし、白身魚は骨を取り除いてすり身にすることで、滑らかな舌触りに仕上がります。銀杏やゆり根などの具材を加えることで、食感や彩りのアクセントを添えることもできます。だし汁と醤油でシンプルに味付けすることで、素材本来の持ち味が際立ちます。蒸し加減にも注意が必要で、火を通しすぎるとかぶが柔らかくなりすぎてしまうため、絶妙なタイミングを見極めることが大切です。
このように、かぶら蒸しは、古くから伝わる調理法と、素材へのこだわりが詰まった、日本の食文化を象徴する料理の一つです。寒い冬に、体の芯から温まる一杯を味わってみてはいかがでしょうか。
項目 | 説明 |
---|---|
料理名 | かぶら蒸し |
分類 | 京料理, 冬の蒸し物, 精進料理の影響 |
発祥 | 京都の料亭 (諸説あり) |
歴史 | 江戸時代から庶民の食卓にも。現代では料亭や家庭で広く親しまれる。 |
特徴 | あっさりとした味付け、素材本来の持ち味、上品な見た目、繊細な味わい |
材料 | かぶ、白身魚、銀杏、ゆり根など |
調理のポイント | かぶの甘みと白身魚の旨味を引き出す、丁寧な下茹で、骨を取り除いたすり身、だし汁と醤油でシンプルに味付け、蒸し加減 |
その他 | 祝い事、特別な日、おせち料理にも |
かぶら蒸しの作り方
かぶら蒸しは、冬の寒い時期にぴったりの、体も心も温まる和食です。かぶの甘みと白身魚の旨味が絶妙に調和した、滋味深い味わいが特徴です。
まずは、かぶの下ごしらえから始めましょう。葉を切り落とし、皮をむいたかぶをすりおろします。この時、大根おろし器を使うと、きめ細かくすりおろすことができます。すりおろしたかぶは、清潔な布巾などを使ってしっかりと絞り、余分な水分を取り除きます。水分が残っていると蒸しあがりが水っぽくなるため、この工程は重要です。
次に、白身魚を用意します。今回は、タイやタラなどの淡白な白身魚がおすすめです。食べやすい大きさに切り、軽く塩を振って下味をつけます。10分ほど置いておくと、魚の臭みが抑えられ、旨味が引き立ちます。
下ごしらえが完了したら、かぶら蒸しの生地を作ります。ボウルにすりおろしたかぶ、卵白、だし汁、みりん、薄口しょうゆ、塩を加え、泡立て器でよく混ぜ合わせます。泡立て器を使うことで、空気を含ませ、ふんわりとした軽い食感に仕上がります。なめらかになるまで、丁寧に混ぜましょう。
蒸し器に湯を沸かし、器に白身魚を並べます。その上に、混ぜ合わせたかぶの生地を流し込みます。強火で5分、その後弱火で10~15分ほど蒸します。竹串を刺してみて、澄んだ汁が出てきたら蒸し上がりです。
最後に、お好みでゆずの皮などを添えて、熱々を召し上がってください。とろけるような食感と、かぶの優しい甘み、白身魚の繊細な旨味が口の中に広がり、心まで温まることでしょう。だし汁の風味も加わり、上品な味わいに仕上がります。
残ったかぶの葉は、細かく刻んでお味噌汁の具材にしたり、炒め物にしたりと、無駄なく活用できます。ぜひ、旬のかぶを使って、かぶら蒸しを手作りしてみてください。
材料 | 下ごしらえ | 調理 | ポイント |
---|---|---|---|
かぶ | 葉を切り落とし、皮をむいてすりおろす。大根おろし器を使うと◎。すりおろしたかぶは布巾で水気を絞る。 | すりおろしたかぶ、卵白、だし汁、みりん、薄口しょうゆ、塩を混ぜ合わせる。泡立て器を使うとふんわり仕上がる。 | 水気を絞らないと水っぽくなる。 |
白身魚(タイ、タラなど) | 食べやすい大きさに切り、塩を振って10分ほど置く。 | 器に並べ、かぶの生地を流し込み、強火で5分、弱火で10~15分蒸す。 | 魚の臭みを取り、旨味を引き出す。 |
かぶの葉 | 細かく刻む。 | 味噌汁の具や炒め物に活用。 | 無駄なく使える。 |
かぶら蒸しを美味しく仕上げるコツ
かぶら蒸しは、寒い時期にぴったりの滋味深い日本料理です。なめらかでとろけるような舌触りと、上品な味わいが魅力ですが、家庭で作る際に、水っぽくなってしまったり、かぶの甘みが十分に引き出せなかったりといった悩みを抱える方も少なくありません。かぶら蒸しの美味しさを最大限に引き出すには、材料選びから蒸し方、仕上げまで、いくつかの大切なコツがあります。
まず、かぶ選びが重要です。葉付きで、葉がみずみずしく、持った時にずっしりとした重みのあるかぶを選びましょう。新鮮なかぶは、甘みが強く、香りが豊かです。皮を厚めにむくことで、より一層、かぶ本来の甘みと柔らかさを楽しむことができます。次に、白身魚は、タイやタラなど、淡白な味わいのものがおすすめです。魚の生臭さが気になる場合は、日本酒とすりおろした生姜の汁に数分間漬け込んでおくことで、臭みを抑えることができます。鶏ひき肉を使う場合は、脂肪分の少ないむね肉を選び、粘りが出るまでよく練ることで、ふっくらとした食感に仕上がります。
かぶを蒸す際は、強火で一気に蒸気を上げるのがポイントです。蒸気が上がったら中火にし、かぶの大きさにもよりますが、20分から30分ほど蒸します。竹串を刺して、澄んだ汁が出てきたら蒸し上がりです。蒸し時間は、かぶの大きさや火加減によって調整してください。中心までしっかりと火が通っているか確認することが大切です。銀杏やゆり根を加える場合は、かぶと一緒に蒸さずに、別で茹でてから加えることで、それぞれの素材の食感を活かすことができます。あんかけの濃度は、とろみが強すぎるとかぶの繊細な味わいを損ねてしまうため、少しゆるめに仕上げるのがおすすめです。
最後に、彩りと風味を添える薬味は、かぶら蒸しの美味しさをさらに引き立てます。千切りにした柚子の皮や三つ葉は、かぶら蒸しによく合う定番の薬味です。針生姜や木の芽などを添えても、見た目も美しく、風味も豊かになります。あつあつのうちに、上品な味わいを堪能しましょう。
項目 | ポイント |
---|---|
かぶ | 葉付きで、葉がみずみずしく、ずっしりとした重みのあるものを選ぶ。皮を厚めにむく。 |
白身魚 | タイやタラなど淡白なものを選ぶ。生臭さが気になる場合は、日本酒とすりおろした生姜の汁に漬ける。 |
鶏ひき肉 | 脂肪分の少ないむね肉を選び、粘りが出るまでよく練る。 |
蒸し方 | 強火で一気に蒸気を上げ、中火で20~30分蒸す。竹串を刺して澄んだ汁が出てきたら蒸し上がり。銀杏やゆり根は別茹でにする。 |
あんかけ | とろみが強すぎないよう、少しゆるめに仕上げる。 |
薬味 | 柚子の皮、三つ葉、針生姜、木の芽などを添える。 |
かぶら蒸しに合う料理
かぶら蒸しは、その繊細で上品な味わいが魅力です。あっさりとした口当たりなので、様々な料理と調和し、食卓に彩りを添えてくれます。
まず、和食の定番料理との組み合わせは鉄板です。焼き魚、例えば、塩鮭やぶりの照り焼きなどは、かぶら蒸しの優しい味わいを引き立てます。また、肉じゃがや筑前煮といった、じっくりと煮込まれた煮物は、かぶら蒸しのなめらかな舌触りと相性抜群です。さらに、炊き込みご飯、例えば、栗ご飯や五目ご飯と一緒に味わうと、豊かな風味のハーモニーを楽しむことができます。
揚げ物や汁物との組み合わせもおすすめです。天ぷらは、揚げたてのさくさくとした衣と、かぶら蒸しのしっとりとした食感が絶妙なコントラストを生み出します。海老や野菜の天ぷらなど、素材の味を活かした天ぷらが特によく合います。お吸い物は、上品なだし汁が、かぶら蒸しの風味をより一層引き立ててくれます。具材には、わかめやしいたけなど、シンプルなものがおすすめです。
季節感を意識した献立も、かぶら蒸しをより美味しく楽しむ秘訣です。秋には、きのこの炊き込みご飯や、さんまの塩焼きを合わせると、旬の味覚を満喫できます。冬には、カニ汁や鱈の煮付けなど、体を温める料理と組み合わせるのがおすすめです。
お酒との相性も抜群です。特に、燗酒はかぶら蒸しと最高の組み合わせと言えるでしょう。温かい燗酒が、かぶら蒸しの繊細な味わいを引き立て、体の芯から温めてくれます。冬の寒い夜に、燗酒と共に味わうかぶら蒸しは、格別なひとときを演出してくれるでしょう。
このように、かぶら蒸しは様々な料理と組み合わせることで、その魅力を最大限に引き出すことができます。それぞれの料理の風味を尊重し、バランスの良い食事を心がけることで、より豊かな食体験を得ることができるでしょう。
料理の種類 | 合う料理 | 季節感 |
---|---|---|
和食 | 焼き魚(塩鮭、ぶりの照り焼き)、煮物(肉じゃが、筑前煮)、炊き込みご飯(栗ご飯、五目ご飯) | 秋:きのこの炊き込みご飯、さんまの塩焼き 冬:カニ汁、鱈の煮付け |
揚げ物 | 天ぷら(海老、野菜) | |
汁物 | お吸い物(わかめ、しいたけ) | |
お酒 | 燗酒 | 冬 |
様々なかぶら蒸しのアレンジ
寒い時期に食べたくなる、とろりとした口当たりが魅力のかぶら蒸し。基本の鶏ひき肉を使ったものだけでなく、様々な具材を加えることで、さらに奥深い味わいを楽しむことができます。
まず、食感に変化をつけたい場合は、ぷりぷりとした海老や、もちもちとした銀杏を加えてみましょう。海老は背わたを取り除き、銀杏は殻を割って薄皮をむいてから加えます。鶏ひき肉とこれらの具材を合わせ、すりおろしたかぶと卵白、だし汁などを混ぜて蒸せば、風味豊かな一品が出来上がります。
上品な味わいに仕上げたい場合は、あんかけがおすすめです。鍋にだし汁、醤油、みりんを入れ、一煮立ちさせたら水溶き片栗粉でとろみをつけます。とろみがついたら火を止め、蒸したかぶら蒸しの上からかければ、料亭のような仕上がりになります。あんかけにすることで、かぶら蒸しが冷めにくくなるという利点もあります。
さらに、風味にアクセントを加えたい場合は、柚子胡椒や七味唐辛子などの香辛料を添えてみましょう。柚子の爽やかな香りと胡椒のピリッとした辛みが、かぶら蒸しの優しい味わいを引き立てます。また、七味唐辛子も、風味のアクセントとしておすすめです。
地域によって様々なバリエーションがあるのも、かぶら蒸しの魅力です。例えば、カニやホタテなどの魚介類を加えたり、ゆずの皮を添えて香りを加えたりと、地域ならではの工夫が凝らされています。色々な地域のレシピを参考に、自分好みの味を見つけて、かぶら蒸しをもっと楽しんでみてください。
目的 | 材料 | 作り方 |
---|---|---|
食感に変化をつける | 海老、銀杏 | 海老は背わたを取り、銀杏は殻を割って薄皮をむく。鶏ひき肉と合わせ、すりおろしたかぶ、卵白、だし汁などを混ぜて蒸す。 |
上品な味わいにする | だし汁、醤油、みりん、水溶き片栗粉 | だし汁、醤油、みりんを一煮立ちさせ、水溶き片栗粉でとろみをつけ、蒸したかぶら蒸しにかける。 |
風味にアクセントを加える | 柚子胡椒、七味唐辛子 | 蒸したかぶら蒸しに添える。 |
地域のバリエーションを楽しむ | カニ、ホタテ、ゆずの皮など | 地域のレシピを参考に、様々な具材や風味を加える。 |