意外と知らない?魚の「下身」のお話

意外と知らない?魚の「下身」のお話

料理を知りたい

先生、『下身』ってどういう意味ですか?魚を三枚おろしにしたときの下側の身のことですか?

料理研究家

いい質問ですね。三枚おろしにした身のこと、と思いがちですが、少し違いますよ。魚を頭を左に、お腹を手前に置いたとき、下のほうにある片身のことを『下身』と言います。三枚おろしにする前の状態ですね。

料理を知りたい

なるほど。ということは、魚を置いておく向きで『下身』が決まるんですね。上側の身は何と呼ぶんですか?

料理研究家

その通りです。上側の身は『上身』と言います。『下身』は『裏身』とも呼ばれますが、『上身』は『表身』とも呼ばれます。身をおろすときには、この『下身』、つまり『裏身』から包丁を入れるのが一般的です。

下身とは。

魚を料理するとき、頭を左、お腹を自分の方に向けて置きます。このとき、下になる側の身を下身といいます。裏身とも呼ばれます。

魚の置き方

魚の置き方

魚を扱う上で、その置き方は調理のしやすさや鮮度の見極めに大きく影響します。まるで生き物と対話するかのように、魚の向きに気を配ることで、より美味しく、そして安全に魚を味わうことができるのです。

まず、魚の頭を左に、お腹側を手前に向けるのが基本です。これは、日本における伝統的な魚の置き方であり、多くの料理人が実践しています。右利きの人の場合、この向きで魚を置くと、包丁が入れやすくなります。特に、三枚おろしにする際、魚の骨に沿って刃を進めるには、この向きが最適です。左利きの人の場合は、魚の頭を右、お腹側を手前にすることで、同様の効果が得られます。

この置き方は、魚の鮮度を見極める上でも重要です。お腹側を手前にすることで、エラの色や腹の状態を容易に確認できます。新鮮な魚は、エラが鮮やかな赤色をしています。また、腹は弾力があり、張っているのが特徴です。逆に、エラが茶色っぽく変色していたり、腹がへこんでいたりする場合は、鮮度が落ちている可能性があります。

家庭で魚を調理する際にも、この置き方を意識することで、下ごしらえがスムーズに進みます。例えば、うろこを取り除いたり、内臓を取り出したりする際にも、作業がしやすくなります。また、切り身を均等な大きさに切り分け、美しく盛り付ける際にも、魚の向きが重要です。

市場やスーパーなどで魚を選ぶ際にも、この置き方を思い出してみてください。多くの場合、魚は頭を左に、お腹側を手前に向けて並べられています。これは、消費者が魚の鮮度を容易に見極められるようにするための配慮です。もし、魚の向きが異なっている場合は、店員に尋ねてみるのも良いでしょう。

魚の置き方一つにも、先人の知恵が詰まっています。この知恵を活かすことで、私たちはより一層、魚料理を楽しむことができるのです。

魚の置き方 利点 鮮度の見極め
頭が左、お腹側が手前
(右利きの場合)
  • 包丁が入れやすい
  • 三枚おろしがしやすい
  • うろこ取り、内臓取り出しやすい
  • 切り身の処理、盛り付けがしやすい
  • エラの色(新鮮なものは鮮やかな赤色)
  • 腹の状態(新鮮なものは弾力があり、張っている)
頭が右、お腹側が手前
(左利きの場合)
  • 包丁が入れやすい
  • 三枚おろしがしやすい
  • うろこ取り、内臓取り出しやすい
  • 切り身の処理、盛り付けがしやすい
  • エラの色(新鮮なものは鮮やかな赤色)
  • 腹の状態(新鮮なものは弾力があり、張っている)

下身とは何か

下身とは何か

魚を調理する際、まな板の上に置く向きで身の呼び方が変わります。頭を左、腹を手前にして置いたとき、まな板に接する側の身を「下身」といいます。「裏身」とも呼ばれることがあります。反対に、上になる側の身は「上身」といいます。

下身は、上身に比べて骨に近い位置にあるため、身の厚みが薄く、脂肪分も少ないのが特徴です。このため、加熱すると身が縮みやすく、パサパサとした食感になりやすい傾向があります。しかし、同時に骨に近いことから旨味が凝縮されており、上身よりも濃厚な味わいを楽しむことができます。この濃厚な味わいを活かすには、煮付けや唐揚げ、焼き魚など、しっかりと火を通す調理法がおすすめです。骨の周りの身は特に味が染み込みやすく、ご飯が進む一品です。

また、下身は骨に近いことから、カルシウムなどの栄養素が豊富に含まれています。成長期の子どもや骨粗鬆症予防に気を遣う方にもおすすめです。

下身は、上身とは異なる特徴を持つため、調理法によって使い分けることで、より美味しく魚を味わうことができます。例えば、刺身や寿司など、生のまま味わう料理には、身の厚く、しっとりとした食感の上身が適しています。一方、加熱調理をする場合は、旨味が強く、栄養価の高い下身を使うことで、魚の美味しさを最大限に引き出すことができます。

調理の際は、下身は火が通りやすいため、加熱しすぎに注意しましょう。煮魚の際は、落とし蓋をして身が崩れないように優しく煮るのがコツです。焼き魚の場合は、焼き時間を短くし、焦げ付かないように注意しながら焼き上げましょう。

このように、下身の特徴を理解し、適切な調理法を選ぶことで、魚料理のバリエーションが広がります。ぜひ、色々な料理で下身を使ってみてください。

部位 特徴 調理法 調理時の注意点
下身(裏身)
  • 骨に近い
  • 身の厚みが薄い
  • 脂肪分が少ない
  • 加熱すると縮みやすい
  • パサつきやすい
  • 旨味が凝縮
  • 栄養豊富(カルシウムなど)
  • 煮付け
  • 唐揚げ
  • 焼き魚
  • 加熱しすぎに注意
  • 煮魚:落とし蓋、優しく煮る
  • 焼き魚:焼き時間を短く、焦げ付かないように注意
上身
  • 身の厚みが厚い
  • しっとりとした食感
  • 刺身
  • 寿司
  • 生のまま味わう料理

下身の上手な使い方

下身の上手な使い方

下身は、魚の種類によって味わいや食感が様々ですが、少しの手間を加えることで、その持ち味を最大限に引き出すことができます。下身は上身に比べて水分が多く、加熱すると身が縮みやすいという特徴があります。しかし、この特徴を逆手に取った調理法を選ぶことで、驚くほど美味しくなります。

例えば、煮付けを作る際には、濃いめの味付けがおすすめです。濃いめの煮汁は、身の縮みを防ぎ、旨味をぎゅっと閉じ込める役割を果たします。また、砂糖を少し加えることで、照りよく仕上がります。生姜や長ネギなどの香味野菜を一緒に煮込むと、魚の臭みを消し、より風味豊かに仕上がります。

唐揚げにする場合は、衣を厚めに付けることが大切です。片栗粉や小麦粉を混ぜた衣をしっかりとまぶすことで、身の水分が外に逃げるのを防ぎ、揚げ上がりはふっくらジューシーになります。高温で短時間で揚げることも、身の縮みを防ぐポイントです。揚げ油に生姜の薄切りを数枚加えると、油の香りが良くなり、食欲をそそります。

その他にも、下身は様々な料理に活用できます。すり身にしてつみれにすれば、ふんわりとした食感を楽しむことができます。魚の骨を取り除き、丁寧にすり身にすることで、お子様やご高齢の方でも安心して食べられます。鍋物や汁物に最適です。また、細かく刻んで混ぜご飯にすれば、手軽に魚の栄養を摂ることができます。ご飯に混ぜる前に、さっと湯通しすることで、臭みを抑えられます。胡麻や刻んだ大葉を添えると、風味が増し、彩りも良くなります。

このように、下身は調理法を工夫することで、様々な美味しさを楽しむことができます。ぜひ、色々な料理に挑戦して、下身の新たな魅力を発見してみてください。

調理法 ポイント 効果
煮付け 濃いめの味付け、砂糖を加える、香味野菜(生姜、長ネギなど)を一緒に煮込む 身の縮みを防ぎ、旨味を閉じ込める、照りよく仕上がる、魚の臭みを消し、風味豊かにする
唐揚げ 厚めの衣、高温で短時間揚げる、揚げ油に生姜の薄切りを加える 身の水分が外に逃げるのを防ぎ、ふっくらジューシーに仕上がる、身の縮みを防ぐ、油の香りが良くなる
つみれ すり身にする、骨を取り除く ふんわりとした食感、お子様やご高齢の方でも安心して食べられる
混ぜご飯 細かく刻む、さっと湯通しする、胡麻や刻んだ大葉を添える 手軽に魚の栄養を摂取できる、臭みを抑える、風味が増し、彩りも良くなる

上身との違い

上身との違い

魚を扱う際、「上身」「下身」という言葉を耳にすることがありますね。これは魚の背中側と腹側の身を指し、見た目だけでなく、味や調理への向き不向きも大きく異なります。上身は魚の背中側の部分を指します。普段私たちが目にする機会が多いのもこちらでしょう。上身の特徴は、何と言ってもその厚みとふっくらとした質感です。火を通しても身が縮みにくいため、美しい盛り付けを保てます。また、加熱調理後も水分を保ちやすく、しっとりとした口当たりが楽しめます。ですので、素材本来の風味を味わいたい場合には上身がおすすめです。例えば、刺身にすれば、とろけるような舌触りと上品な甘みを堪能できますし、塩焼きにすれば、皮はパリッと、身はふっくらと仕上がります。シンプルに焼くだけでも美味しく、素材の良さを最大限に引き出すことができます。

一方、下身は魚の腹側の部分です。上身と比べると、身は薄く、脂がのっていることが多いです。この脂こそが、下身の最大の特徴と言えるでしょう。加熱すると身が縮みやすいという点はあるものの、濃厚な旨味は他の部位にはない魅力です。この強い旨味を活かすには、濃い味付けの料理が最適です。例えば、じっくりと煮込んだ煮付けは、下身の旨味が煮汁に溶け出し、ご飯が進む一品です。また、唐揚げにすれば、外はカリッと、中はジューシーな食感を楽しめます。衣に味が染み込みやすく、下身の脂と相まって、ご飯にもお酒にもよく合うでしょう。このように、上身と下身はそれぞれに持ち味があります。どちらが良い悪いではなく、料理に合わせて使い分けることが、魚を美味しく食べる秘訣です。魚の種類によっても特徴は異なるので、色々な魚で食べ比べてみるのも楽しいでしょう。

部位 特徴 向き不向き 調理例
上身(背中側) 厚みがありふっくら、火を通しても縮みにくい、水分を保ちやすい 素材本来の風味を味わう料理 刺身、塩焼き
下身(腹側) 薄く、脂が多い、加熱すると縮みやすい、濃厚な旨味 濃い味付けの料理 煮付け、唐揚げ

下身を使った料理例

下身を使った料理例

魚の切り身の中でも、下身と呼ばれる部分は、腹側の身のことを指します。脂が少なく淡白な味わいが特徴で、様々な料理に活用できます。価格も比較的お手頃なので、家計にも優しい食材と言えるでしょう。ここでは、下身を使った料理をいくつかご紹介します。

まず、定番料理である煮付けは、下身の美味しさを存分に引き出す調理法です。鍋に水、醤油、砂糖、みりん、酒、生姜などの香味野菜を入れ、下身を並べて落とし蓋をし、弱火でじっくりと煮込みます。味が染み込み、身が柔らかくなったところで火を止め、煮汁を少し煮詰めて照りをつければ完成です。ご飯が進む一品です。

次に、唐揚げも下身を使った人気料理です。下身は加熱すると身が縮みやすいので、衣を少し厚めに付けるのがコツです。片栗粉や小麦粉をまぶし、油で揚げれば、外はカリッと、中はふっくらとした唐揚げが出来上がります。お好みでレモンや醤油、大根おろしなどを添えてお召し上がりください。

また、つみれ汁も下身を使うと美味しく仕上がります。下身を骨を取り除き、皮を剥いでから包丁で細かく叩き、すり身にします。生姜やネギなどの香味野菜、味噌、卵などを加えて混ぜ合わせ、一口大に丸めて沸騰しただし汁の中に入れます。つみれが浮いてきたら火を止め、椀に盛り付ければ、体の温まる一品が完成です。

その他にも、下身を細かく刻んで、野菜やきのことの炊き込みご飯にしたり、卵と合わせて炒め物にしたりと、様々な料理に応用できます。下身は、調理方法によって様々な表情を見せる、魅力的な食材です。ぜひ色々な料理に挑戦して、お好みの食べ方を見つけてみてください。

料理名 調理ポイント
煮付け 弱火でじっくり煮込む
唐揚げ 衣を少し厚めに付ける
つみれ汁 一口大に丸める
炊き込みご飯 細かく刻んで、野菜やきのこと炊く
炒め物 卵と合わせる

まとめ

まとめ

魚を調理する際、どうしても上身に目が行きがちですが、下身にもたくさんの魅力が詰まっています。一見地味な印象を抱くかもしれませんが、実は上身に比べて豊富な旨味を含んでいるのです。

下身は上身よりも脂肪分が多く、濃厚な味わいが特徴です。また、加熱すると身が締まり、弾力のある食感になります。この独特の食感と旨味は、煮付けや焼き物、揚げ物など、様々な調理法で楽しむことができます。例えば、下身をじっくりと煮込むことで、骨から美味しい出汁が出て、より深い味わいの煮付けを作ることができます。また、塩焼きにする場合は、皮目をパリッと焼き上げることで、香ばしさと身の旨味を存分に引き出すことができます。さらに、下身をすり身にしてつみれにすれば、魚の旨味が凝縮された、ふわふわとした食感を楽しむことができます。

これまで下身を残してしまうことが多かった方も、ぜひ一度、下身を使った料理に挑戦してみてください。下身の特徴を活かした調理法で、魚の新たな美味しさを発見できるはずです。魚の栄養を余すことなく摂取するためにも、上身と下身をバランスよく食べることが大切です。魚を丸ごと美味しくいただく喜びを感じながら、下身の魅力を再発見し、日々の食卓をより豊かにしていきましょう。

魚の下身 特徴 調理法 メリット
下身 上身より旨味が豊富 煮付け、焼き物、揚げ物、つみれなど 魚の新たな美味しさを発見できる
魚の栄養を余すことなく摂取できる
脂肪分が多く濃厚な味わい
加熱すると身が締まり、弾力のある食感
じっくり煮込むと骨から美味しい出汁が出る
塩焼きの場合、皮目をパリッと焼き上げると香ばしい
すり身にしてつみれにするとふわふわの食感