あんにん豆腐と杏仁霜:似て非なるもの

あんにん豆腐と杏仁霜:似て非なるもの

料理を知りたい

先生、「あんにん豆腐」って、どんな食べ物なんですか?杏仁豆腐とは違うんですか?

料理研究家

いい質問だね。「あんにん豆腐」は、あんずの種の中にある「あんにん」と呼ばれる部分をすりつぶして、水に溶かして寒天で固めたものだよ。杏仁豆腐とは材料が違うんだ。杏仁豆腐はアーモンドミルクから作られることが多いんだよ。

料理を知りたい

なるほど!じゃあ、「あんにん」とアーモンドは違うものなんですね。杏仁豆腐はアーモンドで作るんですね!

料理研究家

その通り!「あんにん」はあんずの種の中にある部分で、アーモンドとは別のものだよ。少しややこしいけれど、材料が違うから味も香りも違うんだ。機会があったら両方食べて比べてみるといいよ。

あんにん豆腐とは。

「料理」や「台所」に関する言葉である『杏仁豆腐』について説明します。杏仁豆腐は、杏の種の中にある仁(杏仁)をすり鉢ですりつぶし、水に溶かして、寒天で固めたものです。似たものに、牛乳にアーモンドの香りを付けて、寒天で固めたものがあります。

あんにん豆腐の由来

あんにん豆腐の由来

あんにん豆腐、その名の通り、あんずの種の中にある仁、つまり「あんにん」を使った料理です。あんずの実を食べた後、残った種を割ると、中には硬い殻に包まれた仁が入っています。この仁を乾燥させたものが「杏仁」で、独特の甘い香りが特徴です。この杏仁の香りは、ベンズアルデヒドという成分によるものです。

あんにん豆腐を作るには、まずこの乾燥した杏仁を丁寧にすりつぶします。昔はすり鉢や石臼を使って、時間をかけてすりつぶしていました。この作業によって、杏仁の香りがより一層引き立ちます。すりつぶした杏仁に水を加えてよく混ぜ、弱火でじっくりと加熱します。この時、焦げ付かないように注意しながら、杏仁の成分をしっかりと抽出することが大切です。とろみがついたら火からおろし、冷ましてから型に流し込み、冷蔵庫で冷やし固めます。

本来のあんにん豆腐は、杏仁と水、そして固めるための材料として寒天を使用します。滑らかな舌触りと、杏仁のほのかな甘み、上品な香りが口の中に広がり、夏の暑い時期にぴったりの冷菓として古くから親しまれてきました。

日本では、江戸時代の料理本にすでにあんにん豆腐の作り方が記されており、当時から人々に愛されていたことが分かります。家庭で手作りされることも多く、夏の風物詩として楽しまれてきました。近年では、牛乳や砂糖を加えてより濃厚な味わいに仕上げたり、アーモンドエッセンスで香りづけをしたりと、様々なアレンジも楽しまれています。

牛乳を使ったものは、杏仁豆腐風と呼ぶこともあります。本物の杏仁を使ったあんにん豆腐は、独特の風味と香りがあり、一度味わうと忘れられない美味しさです。

項目 内容
材料 杏仁、水、寒天(本来のレシピ)
牛乳、砂糖、アーモンドエッセンス(現代のアレンジ)
香り 杏仁の独特の甘い香り(ベンズアルデヒド)
作り方 1. 乾燥杏仁をすりつぶす
2. 水を加えて混ぜ、弱火で加熱
3. とろみがついたら火からおろし、冷まして型に流し込み、冷蔵庫で冷やし固める
歴史 江戸時代の料理本に記載あり
家庭で手作りされ、夏の風物詩として楽しまれてきた
種類 杏仁豆腐(本来のレシピ)
杏仁豆腐風(牛乳使用)

ナイドウフとの違い

ナイドウフとの違い

夏のひんやりとした甘味が恋しい季節、よく口にするのが「あんにんどうふ」です。とろけるような舌触りと、すっきりとしたのどごしがたまらないですよね。ところが、私たちが普段食べている「あんにんどうふ」の多くは、実は「ナイドウフ」と呼ばれるものなのです。

何が違うのかというと、一番の違いは主材料です。本来の「あんにんどうふ」はアンズの種の中にある「杏仁(きょうにん)」を使います。杏仁は独特の風味とほんのりとした苦みを持ち、漢方にも使われる貴重な食材です。しかし、杏仁は入手が難しく高価なため、現在ではアーモンドの香料を使った「ナイドウフ」が主流となっています。

ナイドウフは、牛乳にアーモンドの香料を加え、凝固剤で固めて作ります。杏仁を使わないため、杏仁特有の風味や苦みはありません。代わりにアーモンドの甘い香りが広がり、牛乳のコクと合わさって濃厚でまろやかな味わいになります。また、凝固剤として寒天を使うことが多く、ぷるんとした独特の食感も魅力です。

手軽に手に入る材料で作ることができ、冷やして食べるとひんやりと爽快なため、夏のデザートとして広く親しまれています。本来の杏仁を使ったあんにんどうふとは異なる味わいですが、ナイドウフはナイドウフで美味しく、今ではすっかり夏の定番デザートとして定着しました。

ちなみに、杏仁を使った本来のあんにんどうふは、専門店で扱っている場合もあります。機会があれば、本物の杏仁の風味を味わってみるのも良いでしょう。その独特の風味と、ナイドウフとの違いを比べてみるのも楽しいかもしれません。

項目 あんにんどうふ ナイドウフ
主材料 杏仁(きょうにん) 牛乳、アーモンド香料
風味 独特の風味、ほんのりとした苦み アーモンドの甘い香り、牛乳のコク、まろやか
食感 とろけるような舌触り ぷるんとした食感
入手難易度 高価、入手困難 安価、入手容易
その他 漢方にも使用 冷やして食べると爽快

杏仁霜を使った作り方

杏仁霜を使った作り方

あんにん豆腐は、なめらかで香り高いデザートとして人気ですが、本来の作り方には手間がかかります。杏の種の中にある仁を取り出し、皮をむいてすりつぶす作業は、時間と労力を要します。しかし、手軽に本格的な味を楽しみたい方には、「杏仁霜」を使う方法がおすすめです。杏仁霜とは、杏仁を粉末状にしたもので、中華食材店や一部のスーパーなどで手に入ります。

杏仁霜を使ったあんにん豆腐の作り方は、まず杏仁霜を少量の熱湯で溶かすことから始めます。ダマにならないように、丁寧に混ぜて滑らかな状態にするのがポイントです。ここに砂糖を加え、しっかりと溶けるまで混ぜ合わせます。砂糖の量は、お好みに合わせて調整してください。次に、鍋に残りの熱湯と粉寒天を入れ、火にかけて加熱します。寒天が完全に溶けるまで、混ぜ続けましょう。寒天が溶けたら、火からおろし、先ほど用意しておいた杏仁霜液を少しずつ加えながら混ぜ合わせます。この時、温度差で杏仁霜が固まらないように、ゆっくりと混ぜることが大切です。

全ての材料が均一に混ざったら、容器に流し込みます。表面が滑らかになるように整え、冷蔵庫で冷やし固めます。固まるまでには、およそ2、3時間かかります。冷蔵庫から取り出し、お好みの大きさに切り分け、器に盛り付ければ完成です。お好みで、シロップやフルーツなどを添えても美味しくいただけます。杏仁霜を使うことで、杏仁をすりつぶす手間が省けるだけでなく、杏仁の深い香りも存分に楽しむことができます。本格的なあんにん豆腐を、ぜひご家庭で味わってみてください。

材料 手順 ポイント
杏仁霜、砂糖、粉寒天、熱湯 1. 杏仁霜を少量の熱湯で溶かす。
2. 砂糖を加え、溶けるまで混ぜる。
3. 残りの熱湯と粉寒天を鍋に入れ、加熱し、寒天を溶かす。
4. 火からおろし、杏仁霜液を少しずつ加え混ぜる。
5. 容器に流し込み、冷蔵庫で冷やし固める。
6. 切り分けて盛り付ける。
  • 杏仁霜を熱湯で溶かす際、ダマにならないように丁寧に混ぜる。
  • 杏仁霜液を加える際、温度差で固まらないようにゆっくり混ぜる。
  • 杏仁の深い香りが楽しめる。

様々なアレンジ

様々なアレンジ

なめらかでひんやりとしたあんにん豆腐は、そのままでも十分おいしいですが、ひと手間加えることで、さらに楽しみが広がります。

まず、彩りを添えたい時は、果物を加えてみましょう。みかんや桃などの缶詰の果物は手軽に使えて便利です。また、旬のいちごやぶどう、キウイなどを添えれば、季節感あふれる見た目も華やかな一品になります。果物の甘酸っぱさが、あんにん豆腐の優しい甘さを引き立ててくれます。

風味を変えたい場合は、黒蜜やきな粉をかけてみましょう。黒蜜のコクのある甘さと、きな粉の香ばしい風味が、あんにん豆腐の新しい魅力を引き出します。また、シロップの種類を変えるのもおすすめです。定番の甘い蜜だけでなく、さっぱりとした梅シロップなどもよく合います。

食感に変化をつけたい時は、凍らせてシャーベット状にしてみましょう。ひんやりとした食感が夏にぴったりです。また、もちもちとした白玉団子や、つるんとした寒天などを加えるのもおすすめです。様々な食感の組み合わせが楽しめます。

あんにん豆腐は、様々な食材と相性が良いので、他にも色々なアレンジが考えられます。例えば、砕いたクッキーやビスケットを乗せたり、ココナッツミルクをかけたりするのもおすすめです。自分好みの味や見た目を見つけて、楽しんでみてください。

目的 方法 材料例
彩りを添える 果物を加える みかん、桃、いちご、ぶどう、キウイ
風味を変える 黒蜜やきな粉をかける
シロップを変える
黒蜜、きな粉、梅シロップ
食感に変化をつける 凍らせてシャーベット状にする
他の食材を加える
白玉団子、寒天
その他 様々な食材と組み合わせる クッキー、ビスケット、ココナッツミルク

まとめ

まとめ

夏の暑さを忘れさせてくれる、ひんやりとしたデザート、あんにんどうふとないどうふ。どちらもつるりとした舌触りで、見た目も涼やかですが、実は異なるお菓子です。あんにんどうふは、杏の種の中の仁、杏仁を使った伝統的な中華デザートです。杏仁独特の、ほんのりとした苦みと甘い香りが特徴で、古くから親しまれてきました。杏仁は咳止めや整腸作用など、体に良い効果も期待できると言われています。一方、ないどうふは、杏仁を使わずにアーモンドエッセンスで香りづけした、比較的新しいデザートです。杏仁の入手が難しかった時代、手軽に作れるようにと考案されました。ないどうふは杏仁独特の風味がないため、万人受けする優しい味わいです。

あんにんどうふを作る際は、杏仁霜という、杏仁を粉末状にしたものを使うと手軽に作ることができます。杏仁霜は、中華食材店などで購入できます。杏仁霜を使ったあんにんどうふは、濃厚で本格的な味わいを楽しめます。牛乳や砂糖の量を調整することで、甘さや固さを自分好みに変えることもできます。また、トッピングにフルーツやシロップを加えれば、見た目も華やかになり、さらに美味しくなります。缶詰のフルーツを使うと手軽で便利です。ないどうふは、牛乳とアーモンドエッセンス、砂糖、ゼラチンなどで簡単に作ることができ、冷蔵庫で冷やすだけで出来上がります。こちらも、フルーツやシロップでアレンジを楽しむことができます。

杏仁の独特な風味を楽しみたい方はあんにんどうふを、手軽にクリーミーなデザートを楽しみたい方はないどうふを選ぶと良いでしょう。それぞれの違いを知り、好みに合わせて、夏のデザートタイムを満喫してください。

項目 あんにんどうふ ないどうふ
材料 杏仁、牛乳、砂糖など 牛乳、アーモンドエッセンス、砂糖、ゼラチンなど
香り 杏仁独特のほんのりとした苦みと甘い香り アーモンドエッセンスの香り
濃厚で本格的な味わい 万人受けする優しい味わい
作り方 杏仁霜を使うと手軽。牛乳や砂糖で調整可能。 牛乳、アーモンドエッセンス、砂糖、ゼラチンで簡単に作れる。
おすすめポイント 杏仁の独特な風味を楽しみたい方 手軽にクリーミーなデザートを楽しみたい方