作どり:鮮魚の仕込みを知ろう

作どり:鮮魚の仕込みを知ろう

料理を知りたい

先生、『作どり』ってどういう意味ですか? 魚を料理する時に使う言葉ですよね?

料理研究家

はい、そうです。『作どり』は、魚を料理する、特に刺身やお寿司を作るときの下ごしらえの言葉です。魚の上身から、血合いの部分などを取り除いて、刺身や切り身にしやすい四角い形に整えることを指します。

料理を知りたい

じゃあ、ただ魚を切るだけじゃなくて、きれいに形を整えることも『作どり』に含まれるんですね。 血合いも取っちゃうってことですか?

料理研究家

その通りです。血合いの部分だけでなく、骨や皮なども取り除いて、料理しやすい形に整える一連の作業が『作どり』です。 刺身の状態にする前の準備段階と考えてもらうと分かりやすいでしょう。

作どりとは。

魚をお刺身やお切り身にしやすくするために、血合いの部分などを取り除いて、四角い形に整えることを『作どり』といいます。これは、お刺身などを作る前の下ごしらえの作業です。

作どりの目的

作どりの目的

作どりとは、魚を料理しやすい形に整え、より美味しく味わうための下ごしらえです。刺身の状態にするのはもちろんのこと、焼き魚や煮魚にする際にも重要な工程となります。魚の鮮度を保ち、見た目と食感を向上させるという大切な役割を担っています。

まず、作どりを行うことで、魚の血合いや骨、皮といった不要な部分を取り除くことができます。これらの部分は、魚の生臭さや食べにくさの原因となるため、取り除くことで、より美味しく食べることができます。特に、血合いには鉄分が多く含まれていますが、酸化しやすい性質があるため、時間が経つと生臭さが増してしまうのです。

また、作どりでは、魚を均一な大きさに切り揃えることも重要です。これは、見た目を美しくするだけでなく、調理の際にも役立ちます。例えば、焼き魚を作る際に切り身が均一な大きさであれば、火の通りが均一になり、焼きムラを防ぐことができます。煮魚の場合も同様で、味が均一にしみ込み、美味しく仕上がります。

刺身を作る場合、作どりは特に重要です。刺身は素材そのものの味を楽しむ料理であり、鮮度と見た目が美味しさを大きく左右します。魚の繊維に沿って綺麗に切られた刺身は、見た目にも美しく、食欲をそそります。また、切り口が鋭利な包丁で切られることで、食感も滑らかになり、より一層美味しく感じられるでしょう。

家庭料理においても、作どりは手を抜いてはいけない工程です。少しの手間をかけるだけで、料理の完成度が格段に向上します。丁寧に作どりされた魚は、まるで料亭で味わうような上品な仕上がりになります。普段の食事をより美味しく、より美しくするために、作どりの技術を身につけてみてはいかがでしょうか。

作どりの効果 詳細 料理への影響
魚の鮮度を保つ、見た目と食感を向上させる 血合いや骨、皮といった不要な部分を取り除く 生臭さや食べにくさを軽減し、美味しく食べられる
魚を均一な大きさに切り揃える 見た目が美しくなり、調理の際にも火の通りや味の染み込みが均一になる
刺身の場合、鮮度と見た目が美味しさを大きく左右する 魚の繊維に沿って綺麗に切ることで、食感も滑らかになる 食欲をそそり、より美味しく感じられる
料理の完成度が格段に向上する 丁寧に作どりされた魚は、まるで料亭で味わうような上品な仕上がりになる 普段の食事をより美味しく、より美しくする

作どりの手順

作どりの手順

作どりは、魚の鮮度と味を保つための大切な下ごしらえです。いくつかの手順を丁寧に踏むことで、より美味しく魚を味わうことができます。まずは、魚を流水で丁寧に洗います。指先を使って、鱗の隙間の汚れや、特にエラや腹部に溜まりやすいぬめりを丁寧に落としましょう。水洗いは、臭みを取り除くための最初の大切な工程です。

次に、出刃包丁を使って頭を切り落とします。エラの下あたりに刃を入れ、一気に切り落とすのがコツです。頭が落とせたら、腹を切開し、内臓を取り除きます。この際、内臓を傷つけないように注意深く作業しましょう。破裂すると、苦味が出てしまうことがあります。内臓を取り除いたら、もう一度流水で腹腔内をきれいに洗い流します。

続いて、腹骨を切り落とします。腹骨は薄く鋭いので、怪我をしないように注意が必要です。包丁を寝かせ気味にして、骨に沿って滑らせるように切り進めます。その後、血合い骨を丁寧にすき取ります。血合い骨は、魚の血管や神経が集まっている部分で、生臭さの原因となります。包丁の先端を軽く使い、骨に沿って丁寧にこそげ取るように取り除きます。血合いをきれいに取り除くことで、仕上がりの味が格段に向上します。

下処理が終わったら、三枚おろし、または五枚おろしで身を捌きます。魚の大きさや用途に合わせて選びましょう。三枚おろしは、背骨を挟んで両側に二枚の身と、中骨の三枚に捌く方法です。五枚おろしは、さらに腹骨に沿って身を切り分け、五枚にします。皮を引く場合は、皮と身の間に包丁を入れ、尾の方向に引いていきます。最後に、用途に合わせた大きさに切り揃えます。刺身にする場合は薄く、煮付けにする場合は厚めに切るなど、料理に合わせて切り方を調整しましょう。

作どりの各工程において、包丁の扱い方と魚の骨格や身の構造への理解は欠かせません。魚の繊維を壊さないように、最小限の力で丁寧に作業を進めることが、美味しい魚料理を作る秘訣です。

手順 詳細 ポイント
1. 水洗い 魚を流水で丁寧に洗う。特にエラや腹部のぬめりを丁寧に落とす。 臭みを取り除くための最初の大切な工程。
2. 頭と内臓の除去 出刃包丁で頭を切り落とし、腹を切開して内臓を取り除く。その後、腹腔内を流水で洗う。 内臓を傷つけないように注意深く作業する。破裂すると苦味が出る。
3. 腹骨と血合い骨の除去 包丁を寝かせ気味にして腹骨を切り落とし、血合い骨を丁寧にすき取る。 腹骨は鋭いので怪我に注意。血合い骨は生臭さの原因となるため丁寧に除去する。
4. 三枚おろし/五枚おろし 魚の大きさや用途に合わせて三枚おろしまたは五枚おろしにする。皮を引く場合は、皮と身の間に包丁を入れ、尾の方向に引く。 三枚おろしは背骨を挟んで両側に二枚の身と、中骨の三枚に捌く。五枚おろしはさらに腹骨に沿って身を切り分け、五枚にする。
5. 切り分け 用途に合わせた大きさに切り揃える。刺身は薄く、煮付けは厚めに切るなど。 料理に合わせて切り方を調整する。

使う道具

使う道具

料理をする上で、道具選びは料理の成否を分けるほど大切です。特に魚を扱う際には、それぞれに適した道具を使うことで、作業効率が上がり、より美味しい料理に仕上がります。

まず、魚の骨を切るには、よく切れた出刃包丁が欠かせません。出刃包丁は、刃が厚く丈夫なため、魚の硬い骨も難なく断ち切ることができます。切れ味が悪い包丁を使うと、骨を砕いてしまうばかりか、身の周りに骨の破片が散らばり、食べるときに危険です。

次に、刺身を引くには、柳刃包丁を使います。柳刃包丁は、刃が薄く、魚の身を美しく切ることができます。切れ味が鋭いため、魚の繊維を傷つけずに、滑らかに切ることができ、見た目も美しく、食感の良い刺身に仕上がります。魚の骨を取り除くための骨抜きも、作業をスムーズに進める上で役立つ道具です。骨抜きの先端は鋭くとがっており、魚の骨をしっかりと掴んで取り除くことができます。また、うろこ取りは、魚のうろこを効率よく取り除くための専用の道具です。うろこ取りを使うことで、飛び散ることなく、綺麗にうろこを取り除くことができます。

これらの道具は、使用後のお手入れも重要です。使い終わったらすぐに洗い、しっかりと水分を拭き取ってから乾燥させましょう。濡れたまま放置すると錆びの原因となるため、注意が必要です。また、切れ味が悪くなってきたと感じたら、砥石で研ぎましょう。適切な手入れをすることで、道具の寿命を延ばし、長く使い続けることができます。料理は、良い道具を適切に使い、丁寧に手入れをすることから始まります。美味しい料理を作るためには、道具へのこだわりも大切なのです。

道具 用途 特徴
出刃包丁 魚の骨を切る 刃が厚く丈夫
柳刃包丁 刺身を引く 刃が薄く、魚の身を美しく切れる
骨抜き 魚の骨を取り除く 先端が鋭くとがっており、骨を掴みやすい
うろこ取り 魚のうろこを取り除く うろこを効率よく、綺麗に取れる

様々な魚への応用

様々な魚への応用

魚を美味しくいただくための『作どり』、つまり下ごしらえは、魚の種類によって方法が変わってきます。アジ、サバ、タイ、ヒラメなど、それぞれ骨の付き方や身の質感が違うので、包丁の入れ方や下処理の方法を魚に合わせて変える必要があるのです。

例えば、小骨が多い魚は、そのままでは口当たりが悪いため、骨抜きを使って丁寧に小骨を取り除く作業が欠かせません。骨抜きの使い方にもコツがあり、魚の身を傷つけずに、きれいに骨だけを取り除くには熟練の技が必要です。また、脂の乗った魚は、皮を引く際に身が崩れやすいので、慎重に刃を入れなければなりません。脂の乗り具合を見極め、適切な力加減で皮を引くことで、美しい仕上がりにすることができます。

このように、それぞれの魚の特性を理解し、適切な技術を用いることで、素材本来の味を最大限に引き出し、最高の状態に仕上げることができるのです。魚の種類によって、適した料理法も異なってきます。

白身魚は、淡白で上品な味わいが特徴です。その繊細な風味を活かすには、刺身や焼き物がおすすめです。刺身は、新鮮な白身魚の美味しさをダイレクトに味わうことができ、焼き物は、皮目をパリッと焼き上げることで香ばしさを加えることができます。

一方、赤身魚は、濃厚な旨味としっかりとした食感が持ち味です。煮付けや照り焼きなど、濃い味付けがよく合います。じっくりと煮込むことで、味がしっかりと染み込み、ご飯が進む一品になります。

青魚は、独特の風味と豊富な栄養が魅力です。新鮮なうちに刺身で食べるのはもちろん、塩焼きやフライにしても美味しくいただけます。特に、脂の乗った旬の青魚は、格別の味わいです。このように、魚の種類に合わせて最適な料理法を選ぶことで、それぞれの魚の美味しさを存分に楽しむことができます。

魚の種類 特徴 下ごしらえのポイント おすすめの料理法
小骨が多い魚 口当たりが悪い 骨抜きを使って丁寧に小骨を取り除く
脂の乗った魚 皮を引く際に身が崩れやすい 脂の乗り具合を見極め、適切な力加減で皮を引く
白身魚 淡白で上品な味わい 刺身、焼き物
赤身魚 濃厚な旨味としっかりとした食感 煮付け、照り焼き
青魚 独特の風味と豊富な栄養 刺身、塩焼き、フライ

作どりの練習方法

作どりの練習方法

魚をきれいに三枚におろす作どりは、和食の大切な基本技術です。しかし、すぐにできるようになるものではなく、練習が必要です。最初のうちは、手に入りやすい鯵や鰯などの魚を使いましょう。身近な魚屋やスーパーで手軽に買えるので、練習には最適です。

まずは、魚を洗って水気をしっかりと拭き取ります。それから、出刃包丁を使って頭を落とします。次に、腹に包丁を入れて内臓を取り除き、きれいに洗います。中骨に沿って包丁を入れ、背骨から身を剥がすように、刃を滑らせます。この時、包丁を寝かせ気味にして、刃先を骨に沿わせるようにするのがコツです。反対側も同じようにして、三枚におろします。

最初はうまくいかないかもしれませんが、繰り返し練習することが大切です。練習を重ねることで、包丁の使い方がスムーズになり、魚の骨の構造も理解できるようになります。魚の骨の付き方や身の厚さが種類によって違うことも、実際に魚を捌く中で分かってきます。

動画投稿サイトなどで、経験豊富な料理人の作どりの様子を見るのも、技術向上に役立ちます。動画を見ながら、実際に魚を捌いてみると、自分の技術の足りない点が分かります。また、魚屋で魚を捌いてもらう時に、作どりの様子を見せてもらうのも良いでしょう。熟練の技を間近で見られる貴重な機会です。

学び続けることと、実際に手を動かして練習することを重ねることで、誰でも作どりの技術を身に付けることができます。焦らず、じっくりと練習に取り組んでみましょう。

手順 ポイント 補足
魚を洗って水気を拭き取る 鯵や鰯などの手に入りやすい魚で練習
出刃包丁で頭を落とす
腹に包丁を入れて内臓を取り除き、きれいに洗う
中骨に沿って包丁を入れ、背骨から身を剥がす 包丁を寝かせ気味にして、刃先を骨に沿わせる
反対側も同じようにして三枚におろす
繰り返し練習する 魚の骨の付き方や身の厚さは種類によって違う
動画サイトで熟練者の作どりの様子を見る 動画を見ながら実際に魚を捌いてみる
魚屋で捌いてもらう時に作どりの様子を見せてもらう

家庭での作どり

家庭での作どり

家庭で作どりをする際は、安全に気を配ることが何よりも大切です。切れ味の良い包丁を用意するのはもちろんのこと、まな板が滑らないよう、濡れ布巾などを下に敷いて固定しましょう。手を切らないよう、指の置き方にも注意を払い、集中して作業に取り組みましょう。

まず、包丁を使う前に、しっかりと研いで切れ味を良くしておきましょう。鋭い包丁は、魚の身を傷つけずに綺麗に切り分けられるだけでなく、作業中の事故を防ぐ上でも重要です。まな板は、安定した場所で使い、滑らないようにしっかりと固定します。濡れ布巾を敷く以外にも、滑り止めシートなどを使用しても良いでしょう。

作どりの手順は、魚の種類によって多少異なりますが、基本的には、うろこを取り、腹を裂いて内臓を取り除き、綺麗に洗う、という流れになります。うろこを取る際は、尾から頭に向かって包丁を動かすと、うろこが飛び散りにくくなります。腹を裂く際は、内臓を傷つけないよう、包丁の刃先を浅く入れて慎重に切り進めましょう。内臓を取り出した後は、腹腔内を流水で丁寧に洗い流し、血合いや汚れを綺麗に落とします。魚の骨は、可燃ゴミではなく、地域によっては不燃ゴミとして分別する必要があるため、自治体の指示に従って正しく処理しましょう。

最初は戸惑うかもしれませんが、何度か練習すれば、誰でも上手に作どりできるようになります。魚屋さんで買った魚をそのまま調理するのも良いですが、自分で作どりした新鮮な魚を味わう喜びはひとしおです。魚本来の味を存分に楽しむためにも、ぜひ家庭で作どりに挑戦してみてください。新鮮な魚を手に入れたら、まずは小さめの魚から練習してみるのも良いでしょう。手順を覚え、慣れてきたら、徐々に大きな魚にも挑戦してみましょう。

項目 詳細
包丁 切れ味の良い包丁を用意し、使用する前にしっかりと研ぐ。
まな板 安定した場所に置き、濡れ布巾や滑り止めシートで固定する。
うろこの取り方 尾から頭に向かって包丁を動かす。
腹の裂き方 内臓を傷つけないよう、包丁の刃先を浅く入れて慎重に切り進める。
内臓の処理 取り出した後、腹腔内を流水で丁寧に洗い流し、血合いや汚れを落とす。
魚の骨の処理 自治体の指示に従って正しく処理する(可燃ごみ、不燃ごみなど)。
練習 最初は小さめの魚から始め、慣れてきたら大きな魚に挑戦する。