アプリコット:甘酸っぱい夏の贈り物
料理を知りたい
先生、「アブリコ」って料理の用語で出てきました。どういう意味でしょうか?
料理研究家
「アブリコ」は、果物の一種である「あんず」のことだよ。
料理を知りたい
あんず!ジャムとかでよく聞きます。料理では、あんずの実を使うってことですか?
料理研究家
そうだね。例えば、あんずのジャムやソース、タルト、ケーキなどに使われることが多いよ。生のあんずを使うこともあるし、乾燥させたドライあんずを使うこともあるね。
abricotアブリコとは。
「料理」や「台所」に関する言葉、『あんず』(フランス語でアプリコ)について。
アプリコットとは
アプリコットは、バラ科サクラ属に分類される落葉性の低い木です。この木になる果実もまた、アプリコットと呼ばれています。鮮やかな橙色が目を引く、柔らかな果肉と甘酸っぱい風味が特徴です。
アプリコットのふるさと中央アジアから中国北部にかけての地域だと考えられており、古くから人々に親しまれてきました。日本では、長野県や山梨県などの限られた地域で栽培されています。太陽の光をたっぷり浴びて育ったアプリコットは、6月から7月にかけて旬を迎えます。この時期になると、市場には新鮮なアプリコットがずらりと並び、夏の訪れを告げます。
食べ方は様々で、もぎたてをそのまま味わうのはもちろんのこと、甘酸っぱい風味を活かしたジャムやコンポート、乾燥させたドライフルーツなど、様々な形で楽しむことができます。さらに、種の中にある仁は杏仁豆腐の材料として使われ、捨てるところがない貴重な果物です。
その美しい橙色は見た目にも涼しげで、爽やかな味わいは夏の暑さを和らげてくれます。まるで夏の贈り物のような果物と言えるでしょう。ビタミンAやビタミンC、食物繊維など、私たちの体に嬉しい栄養素も豊富に含んでいます。健康や美容にも良いとされ、日々の食生活に取り入れたい果物の一つです。
アプリコットを選ぶ際には、全体的に色が濃く、ハリとツヤがあるものを選びましょう。また、持った時にずっしりとした重みを感じるものが完熟のサインです。傷やへこみがないかも確認しましょう。熟したアプリコットは香りが高く、大変美味です。冷蔵庫で冷やして食べると、より一層美味しさが引き立ちます。
項目 | 内容 |
---|---|
分類 | バラ科サクラ属の落葉性低木 |
原産地 | 中央アジアから中国北部 |
旬の時期 | 6月~7月 |
主な産地(日本) | 長野県、山梨県など |
食べ方 | 生食、ジャム、コンポート、ドライフルーツ、杏仁豆腐(種の中の仁を使用) |
栄養素 | ビタミンA、ビタミンC、食物繊維など |
選び方のポイント | 全体的に色が濃く、ハリとツヤがあるもの。ずっしりとした重みがあるもの。傷やへこみがないもの。 |
アプリコットの選び方
美味しい杏を選ぶには、色、香り、触感の三点が重要です。まず、色についてですが、熟した杏は全体が濃い橙色をしています。一部分だけ色が薄い、あるいは緑がかっているものは、まだ熟していない可能性があります。逆に、色が濃すぎる場合は熟しすぎている可能性があるので、注意が必要です。全体にムラなく、鮮やかな橙色のものを選びましょう。次に、香りも重要な判断材料です。熟した杏は、特有の甘い芳香を放ちます。購入前に、軽く香りを嗅いでみて、甘い香りがするかどうか確認しましょう。香りが薄い、あるいは酸っぱいような香りがするものは、避けた方が無難です。最後に、触感も大切です。軽く指で押してみて、適度な弾力のあるものを選びましょう。柔らかすぎるものは熟しすぎている可能性があり、硬すぎるものはまだ熟していない可能性があります。また、表面に張りがあり、しっとりとしているかも確認しましょう。傷やへこみ、変色している部分がないかもチェックすることが大切です。軸の周りの色が緑がかっているものは、収穫から日が浅く、新鮮な証拠です。大きさについては、大きいものほど果肉が多い傾向にありますが、必ずしも大きいものが美味しいとは限りません。中くらいの大きさで、形が整っているものを選ぶと良いでしょう。購入後、すぐに食べる場合は熟したものを、数日置いてから食べる場合は少し硬めのものを選ぶと、好みの熟し具合で楽しむことができます。熟していない杏は、常温で追熟させることができます。直射日光を避け、風通しの良い場所で保存しましょう。冷蔵庫で保存する場合は、低温で香りが損なわれる可能性があるので、食べる直前に冷蔵庫から出すようにしましょう。
項目 | チェックポイント |
---|---|
色 | 全体が濃い橙色で、ムラがない。緑がかっていたり、濃すぎるものは避ける。 |
香り | 特有の甘い芳香がする。香りが薄い、あるいは酸っぱい香りは避ける。 |
触感 | 適度な弾力があり、表面に張りがあってしっとりしている。柔らかすぎたり、硬すぎたりするものは避ける。傷やへこみ、変色がないか確認する。 |
軸 | 軸の周りの色が緑がかっているものは新鮮。 |
大きさ | 中くらいの大きさで、形が整っているものが良い。 |
熟し具合 | すぐに食べるなら熟したものを、数日後に食べるなら少し硬めのものを選ぶ。 |
保存方法 | 熟していないものは常温で追熟。直射日光を避け、風通しの良い場所で保存。冷蔵庫保存は香りが損なわれる可能性があるので、食べる直前に出す。 |
アプリコットの保存方法
あんずは傷みやすい果物なので、保存の仕方を知っておくことが大切です。
買ってきたあんずがまだ固い場合は、常温で追熟させましょう。日光が直接当たらない、風通しの良い場所に置いておくと、ゆっくりと熟していきます。熟し具合を指で軽く押して確かめながら、好みの柔らかさになったら冷蔵庫に移しましょう。
熟したあんずは、冷蔵庫の野菜室で保存するのがおすすめです。野菜室は冷蔵庫の中でも湿度が比較的高く、乾燥を防ぐのに適しています。保存する際は、乾燥を防ぐため、ポリ袋に入れるのが良いでしょう。袋の口をしっかりと閉じ、冷蔵庫内のエチレンガスを吸収する野菜室専用の保存容器に入れると、より長く鮮度を保てます。冷蔵庫で保存しても、あんずは傷みやすいので、なるべく早く食べきりましょう。2、3日中に食べきるのが理想的です。
たくさんあんずがあって食べきれない場合は、冷凍保存もできます。冷凍する際は、まず流水で優しく洗い、皮を剥いて種を取り除きます。次に、冷凍焼けを防ぐために、できるだけ空気を抜いて冷凍用保存袋に入れ、冷凍庫で保存します。金属製のトレーの上に置いて冷凍すると、急速冷凍できるので、風味や食感を損なわずに保存できます。冷凍したあんずは、半解凍してシャーベットのように食べたり、スムージーやジャム、焼き菓子などに加工したりするのもおすすめです。また、砂糖やはちみつに漬け込んで保存する方法もあります。
冷凍あんずを解凍する場合は、冷蔵庫に移してゆっくりと自然解凍するのがおすすめです。時間をかけて解凍することで、細胞が壊れにくく、風味や食感を保つことができます。電子レンジで急速に解凍すると、あんずの風味が損なわれたり、食感が悪くなったりすることがあるので、避けましょう。解凍したあんずは、生のあんずと同様に、なるべく早く食べきるようにしてください。
状態 | 保存方法 | 期間 | 備考 |
---|---|---|---|
固いあんず | 常温保存 (日光が当たらない、風通しの良い場所) |
好みの柔らかさになるまで | 熟し具合を指で軽く押して確かめる |
熟したあんず | 冷蔵保存 (冷蔵庫の野菜室、ポリ袋に入れ、保存容器に入れる) |
2〜3日 | なるべく早く食べきる |
冷凍あんず | 冷凍保存 (皮を剥き、種を取り除き、空気を抜いて冷凍用保存袋に入れる、金属製のトレー推奨) |
長期 | 半解凍でシャーベット、スムージー、ジャム、焼き菓子などに加工、砂糖やはちみつ漬けも可能 解凍は冷蔵庫で自然解凍 |
アプリコットを使った料理
あんずは、そのまま食べるだけでなく、実に様々な料理に使うことができます。代表的なのは、あんず煮やジャムです。あんずの甘酸っぱさは、砂糖と煮詰めるだけで、手軽に美味しいあんず煮やジャムを作ることができます。
また、タルトやケーキなどの焼き菓子にもよく合います。あんずの甘酸っぱさと、バターの香りは抜群の組み合わせです。あんずの果肉を生地に練り込んだり、上に乗せて焼いたりすることで、風味豊かなお菓子を作ることができます。さらに、パイの具材として使うのもおすすめです。サクサクのパイ生地と、とろりとしたあんずの組み合わせは、まさに絶品です。
その他にも、シャーベットや凍らせたお菓子、冷菓など、ひんやりとしたデザートにもおすすめです。夏の暑い時期にぴったりの、さわやかなデザートになります。あんずのピューレを凍らせたり、牛乳や生クリームと混ぜて凍らせたりすることで、簡単に美味しい冷菓を作ることができます。
また、肉料理の味付けにも利用できます。豚肉や鶏肉との相性が良く、甘酸っぱい味付けは肉の旨味をより一層引き立ててくれます。あんずを刻んで肉と一緒に炒め煮にしたり、ピューレ状にしてソースにしたりすることで、風味豊かな肉料理を作ることができます。
あんずの甘酸っぱさは、料理に変化をつけたい時にも役立ちます。刻んだあんずを和え物に加えたり、ヨーグルトに混ぜ込んだりするのもおすすめです。朝食に加えることで、さっぱりとした風味を楽しむことができます。色々な料理にあんずを取り入れて、その美味しさを存分に楽しんでみましょう。
料理の種類 | 作り方・使い方 |
---|---|
あんず煮・ジャム | 砂糖と煮詰める |
タルト・ケーキ | 果肉を生地に練り込む、上に乗せて焼く |
パイ | 具材としてパイ生地と組み合わせる |
シャーベット・冷菓 | ピューレを凍らせる、牛乳や生クリームと混ぜて凍らせる |
肉料理 | 豚肉や鶏肉と炒め煮にする、ピューレ状にしてソースにする |
和え物 | 刻んだあんずを加える |
ヨーグルト | 刻んだあんずを混ぜ込む |
アプリコットの栄養価と効能
あんずは、健康や美容に役立つ栄養がぎゅっと詰まった果物です。鮮やかなオレンジ色は、ベータカロテンという栄養素の色。体内でビタミンAに変わり、皮膚や粘膜を健康に保つとともに、強い抗酸化作用で体のサビつきを防ぎます。また、ビタミンCも豊富に含みます。ビタミンCといえば、免疫力を高める効果や、ハリのある肌を保つコラーゲン生成を助ける働きが知られています。
あんずの甘酸っぱさは、疲れた体に染み渡る美味しさです。そして、あんずには、食物繊維もたっぷり含まれています。食物繊維は、腸内環境を整え、お通じを良くすることで知られています。毎日を快適に過ごすためにも、積極的に摂りたい栄養素です。さらに、カリウムも含まれています。カリウムは、体内の余分な塩分を排出してくれるため、高血圧予防に効果が期待できます。
あんずは、生で食べるのはもちろん、ジャムやドライフルーツにしても美味しく食べられます。ドライフルーツは、栄養価が凝縮されているため、少量で多くの栄養を摂ることができます。ヨーグルトに入れたり、お菓子作りに使ったりと、様々な方法で楽しんでみましょう。ただし、食べ過ぎるとお腹がゆるくなることがあるので、適度な量を心がけて、毎日の食生活に上手に取り入れてみて下さい。旬の時期には、ぜひ新鮮なあんずを味わってみてください。その甘酸っぱさと、豊富な栄養で、きっと元気をもらえるはずです。
栄養素 | 効果 |
---|---|
ベータカロテン | ビタミンAに変換、皮膚・粘膜の健康維持、強い抗酸化作用 |
ビタミンC | 免疫力向上、コラーゲン生成促進、ハリのある肌 |
食物繊維 | 腸内環境改善、便秘解消 |
カリウム | 余分な塩分排出、高血圧予防 |
アプリコットの注意点
あんずは甘酸っぱく、香り高い魅力的な果物ですが、いくつか気を付ける点があります。まず、熟していないあんずは避けることが大切です。未熟なあんずには、お腹をゆるくする成分が含まれているため、食べ過ぎると消化不良を起こし、腹痛や下痢を引き起こす可能性があります。あんずを選ぶ際は、鮮やかな橙色で、適度な柔らかさがあり、甘い香りがするものを選びましょう。
次に、あんずの種には注意が必要です。あんずの種の中にはアミグダリンという物質が含まれており、これは体内で分解されると青酸という有害な物質に変わります。少量であれば問題ありませんが、大量に摂取すると中毒症状を引き起こす危険性があります。特に小さなお子様は、種を誤って飲み込んでしまう可能性があるので、大人がしっかりと管理し、種は取り除いてから与えるようにしましょう。大人も種を噛み砕いたり、大量に食べたりすることは避けましょう。
また、食品アレルギーを持つ方は、初めてあんずを食べる際は少量から試すことをお勧めします。あんずアレルギーの症状としては、口の中のかゆみやしびれ、じんましん、呼吸困難などが見られます。もしこれらの症状が現れた場合は、すぐに医療機関を受診してください。
あんずは、生で食べるだけでなく、ジャムやドライフルーツ、ケーキなど様々な方法で楽しむことができます。旬の時期には、ぜひ新鮮なあんずを味わってみてください。ただし、適量を守り、上記に挙げた点に注意することで、安全にあんずのおいしさを堪能できます。
注意点 | 詳細 |
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未熟なあんず | 避ける(消化不良の原因となる成分を含む) |
あんずの選び方 | 鮮やかな橙色、適度な柔らかさ、甘い香り |
あんずの種 | 大量摂取は危険(アミグダリンが青酸に変化) 子供には種を与えない 大人は種を噛み砕いたり大量に食べたりしない |
アレルギー | 初めて食べる際は少量から試す(口の中のかゆみ、しびれ、じんましん、呼吸困難などの症状に注意) |
適量 | 適量を守って食べる |