関東風と関西風、厚焼き玉子の違い

関東風と関西風、厚焼き玉子の違い

料理を知りたい

先生、「厚焼き玉子」って関東と関西で違うんですか?

料理研究家

そうだよ。関東では、砂糖をたくさん入れた甘い味付けで、だしと卵だけで作るんだ。関西では、白身魚をすりしたものや、すりおろしたヤマトイモなどを卵に加えて焼くんだよ。

料理を知りたい

へえー! 材料が違うんですね。味も違うんですか?

料理研究家

もちろん。関東は甘くて、関西は魚のすり身やヤマトイモが入っているので、それらのうまみと塩味が感じられる味付けになっているよ。

厚焼き玉子とは。

関東と関西では「厚焼き玉子」の作り方が違います。関東では、溶き卵に砂糖を多めに入れ、だし汁だけで調味して厚く焼きます。そのため、甘みが強い玉子焼きになります。一方、関西では、溶き卵に白身魚のすり身、すりおろしたヤマイモ、だし汁を加えてよく混ぜ、塩、薄口しょうゆ、砂糖で味を調えて厚く焼きます。

厚焼き玉子とは

厚焼き玉子とは

厚焼き玉子とは、文字通り厚く焼き上げた玉子焼きのことです。日本の食卓には欠かせないおなじみの料理で、お弁当にもよく詰められます。甘辛い味付けがご飯とよく合い、子供から大人まで広い年代に好まれています。

一口に厚焼き玉子と言っても、地域によって作り方や味が大きく違います。特に、関東と関西では違いがはっきりとしています。関東風の厚焼き玉子は、砂糖をたっぷり使う甘い味付けが特徴です。だし汁だけで卵を溶いて焼き上げます。砂糖の量が多いので、焼き上がりの色は濃いめの黄色で、つややかな照りが出ます。口に入れると、まず砂糖の甘みが広がり、後からだし汁の香りがほんのりと鼻を抜けていきます。しっかりとした弾力があり、食べ応えのある一品です。

一方、関西風の厚焼き玉子は、白身魚をすりつぶしたものやヤマトイモなどを卵に加えて焼き上げます。そのため、ふわふわとした柔らかい食感と、魚のうま味が感じられるのが特徴です。砂糖は控えめで、だし汁のうま味を大切にしています。色は関東風よりも薄く、白に近い黄色です。口に入れると、だしと魚のうま味がじゅわっと広がり、優しい甘さが包み込みます。関東風のしっかりとした食感とは対照的に、関西風は柔らかく、口の中でとろけるような食感が楽しめます。

このように、同じ厚焼き玉子でありながら、全く異なる二つの味があります。このことは、日本の食文化の奥深さを示していると言えるでしょう。家庭によって、あるいは料理人によって、それぞれのこだわりが詰まった厚焼き玉子。ぜひ、色々な厚焼き玉子を味わってみてください。

項目 関東風 関西風
甘さ 甘い(砂糖たっぷり) 控えめ
材料 卵、だし汁、砂糖 卵、だし汁、白身魚orヤマトイモ、砂糖
食感 しっかり、弾力あり ふわふわ、柔らかい、とろける
濃い黄色、つややか 薄い黄色、白っぽい
砂糖の甘み、だし汁の香り だしと魚のうまみ、優しい甘さ

関東風の作り方

関東風の作り方

関東風の厚焼き玉子は、ふっくらとした厚みと濃い甘みが特徴です。砂糖をたっぷりと使うことで、他にはない独特の味わいが生まれます。家庭で美味しい関東風の厚焼き玉子を作るための、具体的な手順をご紹介しましょう。

まず、卵の準備です。ボウルに卵を割り入れ、菜箸で白身を切るように混ぜ合わせます。泡立て器を使うと泡立ちすぎてしまうため、菜箸を使うのがおすすめです。白身と黄身を均一に混ぜ合わせたら、砂糖を加えます。砂糖の量は、お好みに合わせて調整できますが、関東風の特徴である強い甘みを出したい場合は、卵の量に対して多めに加えましょう。だし汁も加え、全体が均一になるまでよく混ぜ合わせます。だし汁は昆布と鰹節から丁寧に取ったものを使うと、より深い味わいになります。

次に、焼き始めです。玉子焼き器を中火で十分に温め、油を薄くひきます。油は、菜箸の先などにキッチンペーパーを巻き付けて、玉子焼き器全体に薄くのばすようにひきましょう。油が多すぎると、焼き上がりが油っぽくなってしまうので注意が必要です。温まった玉子焼き器に卵液を少量流し込み、強火で手早く焼き始めます。表面が固まってきたら、奥に巻き込みます。巻きすを使うと綺麗に巻けますが、菜箸を使って巻くこともできます。卵が焦げ付かないように、火加減の調整が重要です。

卵を巻き込んだら、さらに卵液を流し込み、焼き進めます。卵液を流し込む際は、焼きあがっている卵の下にも行き渡るように流し込むのがポイントです。これを繰り返すことで、分厚く、美しい層の厚焼き玉子が出来上がります。焦げ付きを防ぐため、必要に応じて火力を弱めながら焼き進めましょう。焼き色が均一になるように、玉子焼き器を傾けながら焼くのも良いでしょう。

焼きあがった厚焼き玉子は、余熱で火を通しすぎないように、すぐにまな板の上に取り出します。粗熱が取れたら、食べやすい大きさに切り分けます。熱々はもちろん、冷めても美味しくいただけます。濃い甘みが口いっぱいに広がり、ご飯のおかずとしてはもちろん、お酒のつまみにもぴったりです。

手順 詳細 ポイント
卵の準備 卵を割り入れ、菜箸で白身を切るように混ぜる。砂糖、だし汁を加え、よく混ぜる。 泡立て器ではなく菜箸を使う。砂糖は多めに入れる。だし汁は昆布と鰹節から取ったものを使うとより良い。
焼き始め 玉子焼き器を中火で温め、油を薄くひく。卵液を少量流し込み、強火で焼き始める。表面が固まったら奥に巻き込む。 油は薄くひく。火加減の調整が重要。巻きすを使うと綺麗に巻ける。
焼き進め 卵液を流し込み、焼き進める。卵液は焼きあがっている卵の下にも行き渡るように流し込む。 焦げ付きを防ぐため火力を調整する。焼き色が均一になるように玉子焼き器を傾ける。
焼き上がり まな板に取り出し、粗熱が取れたら切り分ける。 余熱で火を通しすぎないよう、すぐにまな板に取り出す。

関西風の作り方

関西風の作り方

関西風の厚焼き玉子は、独特のふわふわとした食感が魅力です。この柔らかな口当たりは、白身魚とヤマトイモを加えることで生まれます。家庭でも、ちょっとした工夫で料亭のような本格的な一品を作ることができます。

まず、新鮮な卵をボウルに割り入れ、丁寧に混ぜ合わせます。卵白と卵黄が均一に混ざったら、すり鉢ですり潰した白身魚と、すりおろしたヤマトイモを加えます。白身魚はタイやタラなど、淡白な味わいのものがおすすめです。魚の臭みが気になる場合は、生姜の絞り汁を少量加えると良いでしょう。ヤマトイモは水分が多いため、加えすぎると焼き上がりが水っぽくなってしまうため、分量に注意が必要です。

次に、だし汁、塩、淡口醤油、砂糖を加えて調味します。関西風の味付けは、素材本来の味を活かすため、薄味が基本です。だし汁は昆布と鰹節から丁寧にとった一番だしを使うと、より風味が豊かになります。

玉子焼き器は中火で十分に温めてから、油を薄くひきます。油が多すぎると焼き上がりがベタついてしまうので、キッチンペーパーなどで余分な油を拭き取ると良いでしょう。温まった玉子焼き器に卵液を少量流し込み、表面が固まってきたら奥に巻き込みます。卵が焦げ付かないように、火加減を調整しながら焼き進めるのがポイントです。卵液を数回に分けて流し込み、巻き重ねることで、美しい層が出来上がります。

焼きあがった厚焼き玉子は、粗熱を取ってから切り分けます。熱いうちに切ると形が崩れやすいので、少し冷ましてから切るのがおすすめです。切り分けた厚焼き玉子は、大根おろしを添えたり、わさび醤油でいただくのもおすすめです。ご飯のお供としてはもちろん、お酒のつまみとしても美味しくいただけます。ふわふわとした食感と、魚のうま味、ヤマトイモの優しい甘みが絶妙に調和した、関西風の厚焼き玉子をぜひご家庭でお試しください。

材料 ポイント
新鮮なもの
白身魚(タイ、タラなど) すり鉢ですり潰す
ヤマトイモ すりおろし、加えすぎ注意
だし汁 一番だしがおすすめ
少々
淡口醤油 少々
砂糖 少々
生姜の絞り汁 魚の臭み消し(お好みで)
薄くひく、余分な油は拭き取る
大根おろし、わさび醤油 付け合わせ(お好みで)
作り方 ポイント
卵を混ぜる 卵白と卵黄を均一に
白身魚、ヤマトイモを加える
だし汁、塩、醤油、砂糖で調味 薄味
玉子焼き器を温め、油をひく 中火
卵液を少量流し込み、焼く 火加減に注意
数回に分けて流し込み、巻き重ねる
粗熱を取り、切り分ける 熱いうちに切らない
盛り付ける 大根おろしなどを添える

二つの味の食べ比べ

二つの味の食べ比べ

関東と関西では厚焼き玉子の味が大きく異なるとよく言われます。一見どちらも似たような黄色い焼き上がりですが、口に含むと全く違う印象を受けます。

まず関東風の厚焼き玉子は、砂糖をたっぷり使うため、前面に甘みが広がります。濃厚でしっかりとした甘さが特徴で、まるでカステラのような印象を持つ方もいるかもしれません。砂糖の他に醤油やみりん、だし汁などを加えて焼き上げるため、甘さの中にも複雑な旨みが隠れています。卵焼きというよりは、甘辛い卵焼きといった方が近いかもしれません。この甘辛い味わいは、白米との相性が抜群で、おかずとしてだけでなく、お弁当にもよく入っています。

一方、関西風の厚焼き玉子は、砂糖は控えめで、だしの旨みを活かした上品な味わいです。鰹節や昆布で丁寧に引いただし汁と、すりおろしたヤマトイモを加えることで、ふんわりとした食感と優しい甘みが生まれます。ヤマトイモは、甘みだけでなく、粘り気を与える役割も果たしており、口にした時の滑らかな舌触りも関西風の大きな特徴です。卵本来の風味とだしの旨みが調和した、繊細な味わいは、まさに職人技の結晶と言えるでしょう。

このように、関東風と関西風の厚焼き玉子は、砂糖の量、だしの種類、ヤマトイモの有無など、材料や作り方に違いがあるため、全く異なる味わいになります。どちらが良い悪いではなく、それぞれの地域で好まれる味として、長年受け継がれてきました。機会があれば、ぜひ食べ比べてみてください。それぞれの厚焼き玉子から、異なる食文化や歴史を感じることができるはずです。きっと新しい発見があり、食の楽しみが広がることでしょう。

項目 関東風 関西風
砂糖 たっぷり 控えめ
濃厚な甘さ、甘辛い 上品なだし風味、優しい甘み
だし 醤油、みりん、だし汁 鰹節、昆布だし
その他 ヤマトイモ
食感 しっかり ふんわり、滑らか

家庭での楽しみ方

家庭での楽しみ方

家庭で手軽に作れる厚焼き玉子は、日々の食事を彩る一品として、またはお弁当のおかずとして重宝します。関東風と関西風、どちらも作り方はほぼ同じで、材料を混ぜて玉子焼き器で焼くだけで完成します。砂糖の量を調整することで甘さを加減したり、だし汁の種類を変えることで風味に変化をつけたり、自分好みの味を追求する楽しみがあります。

基本の作り方を覚えたら、次は具材を加えてアレンジしてみましょう。すり身やヤマトイモだけでなく、ひじきやネギなどの野菜を加えるのもおすすめです。ひじきは水に戻して細かく刻み、ネギは小口切りにして、卵液に混ぜ込みます。彩り豊かで風味豊かな厚焼き玉子が焼き上がります。他にも、きのこ類やしらたき、桜えびなど、冷蔵庫にある食材を工夫して使えば、様々なバリエーションを楽しむことができます。

玉子焼き器の種類も様々です。銅製の玉子焼き器は熱伝導率が良く、均一に焼き上がりますが、少々値が張ります。一方、鉄製のものは比較的安価で、手軽に始めることができます。焦げ付きにくい加工が施されたものもありますので、ご自身の調理スタイルや予算に合わせて選ぶと良いでしょう。

焼き加減はお好みで調整できますが、焦げ付きを防ぐためにも、火加減は中火以下がおすすめです。箸で卵液を優しく混ぜながら、数回に分けて焼き重ねていくことで、ふっくらとした厚焼き玉子が出来上がります。焼き上がった厚焼き玉子は、巻きすで形を整えて粗熱を取ると、より綺麗に仕上がります。

朝食の食卓に、お弁当に、そして夕食の一品にと、様々な場面で活躍する厚焼き玉子。ぜひ、ご家庭で手作りしてみて、その美味しさをご堪能ください。

項目 詳細
種類 関東風、関西風
味のカスタマイズ 砂糖の量、だし汁の種類
アレンジ すり身、ヤマトイモ、ひじき、ネギ、きのこ類、しらたき、桜えびなど
玉子焼き器 銅製(高価、熱伝導率が良い)、鉄製(安価)、焦げ付きにくい加工あり
火加減 中火以下
焼き方 数回に分けて焼き重ねる
仕上げ 巻きすで形を整え、粗熱を取る
食べる場面 朝食、弁当、夕食